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国内デジタルツイン関連市場、2028年に1.5兆円の市場規模に

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IDC Japanは2024年11月11日、、「国内デジタルツイン関連市場に関する予測」を発表しました。国内デジタルツイン市場は、現実空間のデータをサイバー空間上で可視化し、分析・制御・最適化・予測などを行う技術とサービスを含む幅広い分野を対象としています。

デジタルツイン市場の定義と背景

IDCでは、デジタルツイン関連市場を、現実空間における事象やプロセス、モノや人の形状、動きに関するデータを統合し、サイバー空間で処理する一連の技術領域と定義しています。

これには、CAD(コンピューター支援設計)、CAE(コンピューター支援工学)、PLM(製品ライフサイクル管理)、IoT(モノのインターネット)といった既存のデジタルツールの進化形として位置付けられるものが含まれます。

近年、デジタルツイン技術への注目が高まっている背景には、以下のような要因を挙げています。

  • 設計・開発プロセスで活用したデータをOT(オペレーショナルテクノロジー)に応用する動き
  • AIやロボット技術との組み合わせによる生産や社会インフラ運用の高度化
  • スマートシティ構想、防災、温室効果ガス(GHG)削減、ヘルスケア分野などでの新たな取り組みの開始

市場成長の見通し

IDCの予測によると、国内デジタルツイン関連市場の規模は、2023年の7,329億円から年間平均成長率(CAGR)16.4%で成長し、2028年には1兆5,674億円に達する見通しです。この成長を支える要因として、以下を挙げています。

  • データとシミュレーションに基づく意思決定ニーズの増加
  • 現実空間の事象を分析・制御するデジタル技術の成熟
  • サプライチェーンやスマートシティ、防災、エンターテイメントなど、新たなユースケースの広がり

特に、AIや機械学習を組み込んだシミュレーション技術の進化が、より精緻な分析や予測を可能にし、今後の市場成長を後押しすると見られています。

IDC Japanのソフトウェア&サービス部門リサーチマネージャーである小野陽子氏は、「デジタルツインはまだ高度化の途上にあるが、これからが本格的な成長期となる。ベンダーは表現力やシミュレーション技術の開発に注力し、現実空間データの活用におけるIoT、CAE、機械学習のハイブリッドな組み合わせを推進すべき」と述べています。

デジタルツイン技術は、単なる仮想空間での再現にとどまらず、現実世界の複雑な問題解決や新たな価値創造に向けた重要な役割を担うことが期待されています。企業や自治体においても、デジタルツインを活用したデータドリブンな意思決定が、持続可能な成長の鍵となるでしょう。

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出典:IDC Japan 2024.11

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