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生成AIで変わるデジタル・ワークプレースの未来

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生成AIの企業での導入が進み、デジタル・ワークプレースは大きな転換期を迎えています。従業員がツールを自ら構築し、AIを活用して業務の効率化を図る時代が進みつつあります。

企業のITリーダーは、従来の受け身の姿勢を捨て、未来の働き方をデザインする役割を担うことが求められています。

ガートナーが2024年8月27日に公表した見解は、この変化にどう対応すべきかを示しています。

Gartner、企業のITリーダーは、テクノロジがもたらすワークプレースの刷新に今すぐ挑むべきとの見解を発表

企業がデジタル・ワークプレースを進化させ、従業員の生産性を最大限に引き出すためには、生成AIの活用が不可欠です。ガートナーは「デジタル・ワークプレース サミット」において、ITリーダーが抱える課題に対処するための3つのアプローチを提案しています。

生成AIの進化とデジタル・ワークプレースの変革

ガートナーのディレクター アナリスト、オータム スタニシュ氏は、

デジタル・ワークプレース・リーダーは、単なる生存ではなく、未来を見据えた挑戦をする必要がある。

と述べています。

これまで、企業のIT部門は業務効率化やトラブルシューティングに重点を置いてきましたが、それだけでは企業の持続的な競争優位を築くことは困難となっています。

スタニシュ氏が指摘するように、企業は生成AIを中心とした新しい技術を積極的に取り入れ、従業員が自らツールを構築・カスタマイズできる環境を整えることが求められています。

ガートナーの2024年の調査では、生成AIを導入する企業は今後急速に増加し、従業員の生産性を20%向上させると予測しています。

特に日本企業は、日常業務でのAI活用が進んでいるものの、実際に生成AIを効果的に使いこなしている従業員はまだ少数です。

バイス プレジデント アナリストのトリ ポールマン氏は、

従業員が生成AIを使いこなすためには、リスク管理と適切な教育が不可欠です

と強調しています。

ワークプレースの刷新:3つのアプローチ

ガートナーは、デジタル・ワークプレースの刷新に向けた3つの重要な領域を提案しています。

インフラストラクチャの近代化(モダナイゼーション)

企業の多くは、デジタル・ワークプレースの取り組みをインフラストラクチャの近代化に集中。しかし、それだけでは十分ではなく、ビジネス成果を向上させるためには、さらに進んだアプローチが必要

新しい働き方の促進

従業員が自らの業務に最適なツールを選び、カスタマイズする能力を持つことが重要。ガートナーの調査では、従業員の多くが既にツールを構築するビルダーとしての役割を果たしており、ITリーダーは、この変化を支援し、従業員のスキルを最大限に引き出すことが必要。

ビジネス・トランスフォーメーションの推進

ビジネス部門とIT部門の連携が不可欠。特に生成AIなどの先進技術を効果的に導入するためには、両部門が協力して取り組むことが必要。ガートナーの予測によると、2028年までに、デジタル・ワークプレースをリードする組織は、そうでない組織と比べて生成AIなどの技術を半分の時間で導入することが可能に。

協力者の確立と新たなパートナーシップ

デジタル・ワークプレースの取り組みを成功させるためには、IT部門単独では十分ではなく、人事や施設部門、ビジネスリーダーなど、組織全体の協力が求められています。

ガートナーの調査では、CEOや取締役会がテクノロジーへの投資と従業員の生産性向上を最優先課題として掲げており、この目標を達成するために生成AIの導入が鍵を握るとされています。

生成AIを活用した業務改革では、投資対効果 (ROI) と従業員の収益率 (ROE) の両方を評価する必要があります。ROIでは業務効率の向上や処理の迅速化、ROEでは従業員の定着率やキャリアの進展を重視し、AIの効果を総合的に評価することが求められます。

野望を達成するためのリーダーシップ

ITリーダーが果たすべき役割は、ビジネス部門との信頼関係を築き、協力して新しい働き方を実現することを挙げています。

デジタル・ワークプレースの導入は単なる技術的な課題ではなく、組織全体の変革を推進する重要なアプローチとなります。

従業員のデジタルスキルを高め、AIの可能性を最大限に引き出すための教育と支援が、企業の成長に直結します。

今後の展望

今後、生成AIはデジタル・ワークプレースの変革を加速させ、企業の競争力を左右する重要なアプローチとなります。

従業員がAIを活用して業務の効率化を図るだけでなく、問題解決の主体となることで、ITリーダーは従来の役割を超え、ビジネス部門との連携を深めることが求められます。

特に日本企業においては、生成AI導入の遅れが競争力の低下につながるリスクがあります。AIを活用したデジタルスキルの向上と迅速な導入こそが、今後のビジネス成長の鍵となるでしょう。

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