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国内企業のデータ運用成熟度、AI活用で新たなフェーズへ

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IDC Japanは2024年9月11日、「国内企業のデータプラットフォーム運用に関する成熟度調査結果」を発表しました。

IDCの調査では、国内企業のデータ運用が着実に進化していることが確認され、特にAI(人工知能)の活用によってデータ運用の新たなフェーズに移行しつつあることが示されています。

IDCの調査は、データ運用の成熟度を5つの段階に分け、企業のデータ活用状況を測定しました。第1段階「未整備」から第5段階「迅速な適応」までの分類に基づき、データの利活用度合いやガバナンス体制、人材リソースなど多角的な観点で分析しています。今回の結果では、未整備の企業が減少し、第3段階「途上後期」から第5段階「迅速な適応」に移行する企業の割合が増加していることが明らかになりました。

  • 未整備:データ運用の仕組みが大部分で未整備な状態。
  • 途上前期:データ運用の仕組みを整備中だが、改善点が多く残る状態。
  • 途上後期:データ運用の整備が進み、課題が少ない状態。
  • 要件充足:データ運用の仕組みが組織全体で整い、ビジネス要件を満たす状態。
  • 迅速な適応:データ運用の仕組みが組織全体でシステマティックに整い、環境変化に素早く対応できる状態。

AI技術の進化がデータ運用を後押し

DX(デジタルトランスフォーメーション)の普及により、データ活用が企業の業績に与える影響が大きくなっていることが背景にあります。特にAI技術の急速な進化により、データ駆動型の業務自動化が実現しつつあり、企業は新たな競争力を獲得するためにデータ運用を進化させる必要に迫られています。

しかしながら、データ運用の成熟度が高い企業は依然として限られており、特に第5段階「迅速な適応」に到達する企業はわずかにとどまっています。IDC Japanのリサーチマネージャーである鈴木康介氏は、「AIの活用を進める企業にとって、データの質やガバナンスの整備は急務であり、特に高度な処方的分析(Prescriptive Analytics)によるビジネス判断をサポートするためには、データ運用体制の強化が求められる」と指摘しています。

データプラットフォームの進化と今後の課題

IDCの調査結果によると、国内企業はデータプラットフォームを業務システムの基盤としてだけでなく、AIを活用した業務自動化や知識ベースの拡充に向けた新たな活用フェーズへと移行しています。この動きにより、企業は生産性向上や迅速なビジネス意思決定が可能となりますが、その一方で、データガバナンスやセキュリティの強化も不可欠です。

特に、社会環境や競合状況の変化に迅速に対応できる体制を構築することは、今後の重要な課題です。企業はデータ品質の改善や、業務に必要な知識を形式化するための取り組みを強化し、AIによる分析の精度を高めることが必要としています。

データ運用体制の継続的な革新が鍵

データ駆動型の業務自動化や高度なAI技術の導入には、企業のデータ運用体制のさらなる進化が求められます。今回の調査結果は、国内企業がデータ運用を通じて業績を向上させるために直面する課題と、必要な改革を明確に示しています。

中でも、処方的分析の導入やAIを駆使した業務自動化は、競争力を維持する上で鍵となります。今後の市場競争においては、データ運用の革新が企業の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

データ駆動型の業務自動化に対応するための取り組み

  • データ品質・整合性の改善:組織内のデータの信頼性を高める。
  • 知識の形式化・知識ベース化:業務遂行に必要な知識を体系化し、共有可能な形で蓄積する。
  • 処方的分析の精度向上:専門知識とリアルタイムデータに基づく高度な分析を行うためのエージェント設計と、その協調動作のマネジメント。

IDCの調査は、データプラットフォームの成熟が企業の競争優位性に直結することを示しており、今後もデータ運用の進化が重要な経営課題となることが予想されます。企業は、AIとデータガバナンスの両輪を駆使し、持続的な成長を目指してデータ戦略を再構築していくいくことが重要となっていくでしょう。

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出典:IDC Japan 2024.9

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