「Everyday AI」が過度な期待のピーク期に 〜ガートナー、「デジタルワークプレイスアプリケーションのハイプサイクル:2024年」
ガートナーは2024年8月14日、「デジタルワークプレイスアプリケーションのハイプサイクル:2024年」を公表しました。
Gartner Says Everyday AI and Digital Employee Experience Are Two Years Away from Mainstream Adoption
ガートナーによると、「Everyday AI(日常的に利用されるAI)」は過度な期待のピーク期にあり、今後2年以内に主流になる見通しとしています。
ガートナーのディスティングイッシュドVPアナリスト、マット・ケイン氏は、「Everyday AI」について
従業員が文章の作成、リサーチ、コラボレーション、アイデア創出を行う際のデジタル摩擦を取り除くことを約束する。また、Everyday AIはDigital Employee Experience (デジタル従業員体験)の中核的な要素であり、従業員のデジタル技術活用能力(デジタルデキスタリティ)を向上させることが、組織の繁栄に寄与する
とコメントしています。
2024年は、デジタルワークプレースアプリケーションにとって重要な年であり、これまでのハイブリッドワークやリモートワークに対する関心が薄れる中、Everyday AIに対する戦略的な注目が高まっています。ガートナーのハイプサイクルによると、Everyday AIは「過度な期待のピーク期」に位置し、今後の生産性向上の鍵として期待されています。
ガートナーのVPアナリスト、アダム・プレセット氏も、「Everyday AI」の重要性について強調しています。
Everyday AIは従業員が迅速かつ自信を持って仕事を進めるためのサポートを提供し、ツール以上に知的なコラボレーターとしての役割を果たす
と述べ、従業員の生産性向上に寄与するだけでなく、市場に新たなサービスを提供する力を持つと指摘しています。具体的には、情報の検索や統合、質問への包括的な回答、さらには最小限の指示でレポート作成を支援する機能などが含まれるといいます。
出典:ガートナー 2024.8
それぞれ、過度な期待のピーク期、幻滅期、黎明期などに分けると以下のとおりとなります。
過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations)
- Multimodal GenAI (マルチモーダル・ジェネレーティブAI)
- AI TRISM (AIトリズム)
- Frontline Superapps (フロントライン・スーパーアプリ)
- Internal Talent Marketplaces (社内タレントマーケットプレイス)
- Superapps (スーパーアプリ)
- Everyday AI (日常AI)
- Business Technologists (ビジネステクノロジスト)
幻滅期(Trough of Disillusionment)
- Influencer Network (インフルエンサーネットワーク)
- Work Hubs (ワークハブ)
- Data Literacy (データリテラシー)
- Digital Employee Experience (デジタル従業員体験)
- Fusion Teams (フュージョンチーム)
- Digital Adoption Platforms (デジタル導入プラットフォーム)
- Intranet Packaged Solutions (イントラネットパッケージソリューション)
- Workplace Experience Apps (職場体験アプリ)
- OKR Applications (OKRアプリケーション)
- Collaborative Work Management (コラボレーティブ・ワークマネジメント)
黎明期(Innovation Trigger)
- Workforce Nudgetech (ワークフォース・ナッジテック)
- SWARM Technology (スウォーム・テクノロジー)
- Cyberpsychology (サイバー心理学)
- Collaborative Support Hub (コラボレーティブ・サポートハブ)
- Collaborative Content Workspaces (コラボレーティブ・コンテンツワークスペース)
- Digital Side Hustle (デジタル・サイドハッスル)
- Prompt Marketplace (プロンプト・マーケットプレイス)
- Guided Attention (ガイド付きアテンション)
- No-Code Platforms (ノーコード・プラットフォーム)
- Workstyle Analytics (ワークスタイル・アナリティクス)
- Employee Journey Map (従業員ジャーニーマップ)
- AI-Enabled Skills Management (AI対応のスキル管理)
- Employee Enablement (従業員の支援)
- Immersive Meetings (没入型ミーティング)
啓発期(Slope of Enlightenment)
- Knowledge Graphs (ナレッジグラフ)
- Talent Analytics (タレントアナリティクス)
- Visual Collaboration Applications (ビジュアルコラボレーションアプリケーション)
生産性の安定期(Plateau of Productivity)
- Citizen Developers (シチズンデベロッパー)
今後の展望
ガートナーのハイプサイクルから読み解くと、今後、デジタルワークプレイスにおけるテクノロジーの進展は、AIやデジタル体験を中心に大きな変革をもたらす可能性があります。
特に「Everyday AI」や「マルチモーダルGenAI」といった技術は、従業員の日常業務をサポートする知的なコラボレーターとして機能し、生産性向上に寄与することが期待されるところです。
また、「ノーコードプラットフォーム」や「スーパーアプリ」などのイノベーションは、従業員がテクノロジを自ら活用できる環境を整え、組織全体のデジタル技術活用能力を引き上げる可能性があるでしょう。一方で、「デジタル従業員体験」や「フュージョンチーム」などの技術は、期待された効果が十分に発揮されず、見直しが求められるフェーズにありますので、テクノロジーの目利きも重要となるでしょう。
今後は、AI技術の成熟が進む中で、これらの技術が組織の生産性や従業員のエンゲージメント向上にどのように貢献するかが注目されるところです。