生成AIアプリケーションの実装アプローチ
ITRは2024年5月31日、国内企業が生成AIの価値を最大限に引き出すためのアプリケーション戦略とその実装アプローチについて詳述したホワイトペーパーを公表しました。
ホワイトペーパーのタイトル
ITR White Paper: 『生成AIの真価を引き出すアプリケーション戦略 ~ ユースケースから導くビジネスへの実装アプローチ ~』
生成AIは、国内企業において急速に注目を集める技術ですが、導入企業の多くが期待通りの成果を得られていないのが現状で、これは、生成AIの真価を発揮させるためには、大規模事前学習を施されたLLM(大規模言語モデル)と業務フローを結びつけるアプリケーション環境の整備が必要不可欠であることを示しています。
本ホワイトペーパーでは、生成AIに関わる国内企業の投資意欲やその利用状況の実態を紹介するとともに、生成AIのユースケースを基に、適したアプリケーション利用形態を選択するための検討ポイントを整理しています。また、生成AIを活用する際に考慮すべきリスクについても取り上げています。
生成AIアプリケーションの4つの実装アプローチ
ITRは、生成AIアプリケーションの実装手段を以下の4つに分類し、各アプローチの特徴と適用ケースを整理しています。
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Use(利用)
- 概要: 生成AI機能が組み込まれた市販アプリケーションを利用
- 対象タスク: 多くの従業員が共通して行う汎用的なタスク
- 想定ユーザー: 全社員
- ゴール: 効率化
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Build(構築)
- 概要: APIなどにより、生成AI機能を組み込んだアプリを手軽に作成して利用
- 対象タスク: 特定の業務フローに関わるタスク
- 想定ユーザー: 特定部門
- ゴール: 自動化
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Custom(特製)
- 概要: 自社向けにLLMの機能をカスタマイズしたうえでアプリに実装して利用
- 対象タスク: 特殊かつ複雑な問題解決が求められるタスク
- 想定ユーザー: 経営層/戦略部門/専門知識を要求される部門
- ゴール: 差別化
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Develop(開発)
- 概要: LLMなどの基盤モデルを含めてフルスクラッチでアプリを開発して利用
- 対象タスク: 将来の成長・革新につながるタスク
- 想定ユーザー: 新商品・サービス開発部門
- ゴール: ビジネス創出
出典:ITR White Paper: 『生成AIの真価を引き出すアプリケーション戦略 ~ ユースケースから導くビジネスへの実装アプローチ ~』 2024.5.31
ITRの見解
ITRのプリンシパル・アナリストは、
最新版が次々と提供される基盤モデルに注目が集まりがちな昨今ですが、今後に向けては、アプリケーション開発・実行環境を提供するプラットフォームが生成AI市場の主戦場となる可能性が高いとみられます。
特に、比較的短期間かつ低コストで実現可能な、UseとBuildのアプローチは急速に選択肢が拡大しており、今後の生成AIアプリケーションの利用形態として主流となる可能性があります。
ユーザー企業は、生成AIが持つスキルを自社の業務に落とし込むためのアプリケーション戦略を描き、その実現に向けた情報収集やノウハウ/スキルの獲得に着手することが求められます
とコメントしています。