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2023年のIPO動向

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帝国データバンクは2024年2月2日、「2023年のIPO動向」について公表しました。

2023年の国内新規株式公開(IPO)市場は、リーマン・ショック以降で2番目に多い96社が上場を果たし、デジタル化の波を象徴するかのように、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)支援事業を展開するテクノロジー企業が市場の中心に立ちました。

この傾向は、日本経済におけるデジタル化の加速を反映しており、企業のビジネスモデルや市場の構造変化における、注目すべき動きと言えるでしょう。

IPO市場全体の動向

2023年にIPOを果たした96社は、前年からわずかに増加するものの、100社には届かず、リーマン・ショック前の活発な市場活動への完全な回復はまだ見られません。

しかし、この数字は新型コロナウイルス対策として実施された世界的な金融緩和の影響を受けた2021年に次ぐ高水準であり、市場の底堅い活力を示しています。また、初値での時価総額が1,000億円を超える大型IPOも6社と前年から倍増し、市場に新たな注目株が登場しています。

業種別動向とテック企業の影響力

特に注目されるのは、情報サービス業界を含むサービスセクターが全体の約3分の2を占め、中でもAIやDX支援事業を展開する企業が脚光を浴びています。この動きは、デジタル技術が経済全体に及ぼす影響の大きさと、それに伴う新たなビジネスチャンスの創出を物語っています。

ABEJAやArentなどの企業は、革新的な技術を駆使して産業の生産性向上に貢献しており、これらの企業の活動は市場に新たな活力をもたらすと同時に、他業種へのデジタル技術の普及を促進しています。

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出典:帝国データバンク 2024.2

スタートアップ企業とインパクトIPO

また、2023年のIPO企業の約6割がスタートアップであり、中には社会的課題の解決を目指す「インパクトIPO」を実現した企業も見られます。これらの動きは、単に経済的な価値を追求するだけでなく、社会的な価値の創出にも注力する現代の企業姿勢を反映しています。例えば、産直ECプラットフォームを運営する雨風太陽や、フードシェアリングプラットフォームを提供するクラダシなどは、ビジネスを通じて社会問題の解決に貢献しており、投資家だけでなく、より広い社会からの関心も集めています。

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出典:帝国データバンク 2024.2

市場環境と将来展望

2023年の株式市場は、円安による企業業績の改善やデフレ脱却への期待、さらには米国の金融政策の変化や海外からの日本株再評価など、さまざまな要因が組み合わさり、日経平均株価は年間で28.2%上昇しました。

このような市場環境の中で、デジタルおよびITテクノロジーを核とするテック企業のIPOが引き続き市場をけん引し、新たな成長機会を創出している動きが顕著となっています。

その一方で、ロシアによるウクライナ侵攻やハマス・イスラエル紛争の長期化といった地政学上の不確実性の高まりなどで2024年も投資マネーの勢いの弱さは引き続き懸念されています。

2023年のIPO市場は、デジタル化の進展とテクノロジーの革新が経済成長の重要な推進力であることを再確認させるものであり、今後もこれらの動きが日本経済に新たな活力をもたらすことが期待されます。企業は、技術革新だけでなく、社会的価値の創出にも目を向けることで、持続可能な成長を目指すべき時代への転換が求められています。

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