「情報サービス」の人材不足は 74.0%に 〜帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査から
企業における人手不足は深刻な状況となりつつあります。帝国データバンクは2023年8月7日、「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」を公表しました。
調査期間は2023年7月18日~7月31日。調査対象は全国2万7,768社、有効回答企業数は1万1,265社(回答率40.6%)です。
調査結果のポイントですが、
正社員の人手不足企業の割合は51.4%となった。業種別ではエンジニア人材の不足が目立つ「情報サービス」が74.0%で最も高く、「旅館・ホテル」(72.6%)が続いた
非正社員では30.5%が人手不足を感じており、業種別では「飲食店」が83.5%で最も高かった。また、「旅館・ホテル」(68.1%)は正社員と同様に業種別で2番目に高い結果となった
と、情報サービス業や、外国人観光客が増加する中での「旅館・ホテル」の人材不足が深刻な状況となりつつあります。
2023 年 7 月時点における全業種の従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員が「不足」と感じている企業は51.4%でした。
前年同月比で3.7 ポイント増加しており、7月としてはこれまで最も高かった 2018 年(50.9%)を上回り、過去最高を記録しています。
また、非正社員では 30.5%で、7 月としては 5 年ぶりに 3割超の水準に上昇しています。
人手不足割合推移(各年 7 月)
出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)
【正社員・業種別】「情報サービス」が 74.0%でトップ、「旅館・ホテル」も 7 割超で高水準
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「情報サービス」が 74.0%で最も高く、「旅館・ホテル」が 72.6%で続き、上記 2 業種で 7 割を上回る結果となっています。
業種別トップの「情報サービス」は、9 カ月連続で 7 割超となり人手不足が深刻で、システムエンジニアなどの高度な技術を有する人材の確保ができていないという意見が多くみられています。
「情報サービス」業界の人手不足割合(正社員)でみると、過去最高の2019年3月の76.4%から、コロナの影響などもあり42.4%まで下がりましが、再び上昇傾向になり、2023年7月には74.0%となっています。
正社員で業種別トップとなった「情報サービス」は、リスキリングなどによる人材育成も中長期的に計画して進めているものの、高度なスキルを有する即戦力を求める声が多く、人手不足の解消には相応の時間がかかりそうであると指摘しています。
以前記事で紹介をさせていただきましたが、経済産業省は2023年6月13日に、「第8回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」を開催し、経済産業省のデジタル人材育成に向けた取組状況について情報を公開しています。
デジタル化の進展に伴い、デジタルスキルの需要はますます高まることが予想され、今後、これらのプログラムをさらに拡大し、より多くの人々がデジタルスキルを習得できる環境を整備する必要性も高まっています。
人手不足の解消に向けて、人材確保・生産性向上の両面で、リスキリングを通じた既存従業員の育成や DX 導入による業務効率化の対応が進められていますが、さらなる対応が求められていくでしょう。