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ChatGPT利用率は日米大きな差に。

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MM総研は2023年6月12日、「日米企業におけるChatGPT利用動向調査」(2023年5月末時点)を公表しました。

MM総研では、日本および米国の企業・団体に所属する従業員13,814人(日本 13,412人、米国 402人)を対象に、2023年5月末にWebアンケート調査を実施し、ビジネスでのChatGPT利用動向をまとめ、日本と米国とで利用率や用途、今後の意向、課題などを比較しています。

ChatGPT利用率は日本7%、米国51%で差は44ポイント

本調査では、ビジネスにおけるChatGPT利用率は、日本では7%とまだ大きくは広がっておらず、新しいテクノロジーなどを積極採用する初期採用層が利用している状況です。

一方で「知らない」が46%と半数近くを占めるほか、知っていても「利用していない」が42%となっています。一方、米国では、利用率が51%と、日本を44ポイント上回る結果となっています。すでに多くの企業で利用されており、「知らない」も9%にとどまるなど認知度も高くなっています。

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日米におけるChatGPTの利用率比較
出典:日米企業におけるChatGPT利用動向調査

この傾向は生成AI全般に共通する特徴であり、ChatGPTなどの言語系AIだけでなく、Stable DiffusionやDALL・Eをはじめとする画像系などその他の分野でも利用率に大きな差がみられています。

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日米における生成AIの利用率比較
出典:日米企業におけるChatGPT利用動向調査

こうした差が出た要因のひとつに、経営層の関心度合いがあげられるとしています。

米国では6割以上の経営層がChatGPTに対して強い関心を持っているのに対し、日本は米国の半分以下という結果となっています。

利用環境については、有料のアカウントやAPIを整備している割合に日米で大きな差がある。反対に、会社として何らかの規制を設けている割合は両国とも3割程度となっています。

利用率の高い属性は大手企業、インフラ・研究・情報通信、経営者・管理職、人事部

また、日本でChatGPT利用率の高い属性を見ると、従業員の多い大手企業であること、職階は経営層や管理職と上位という結果となっています。

業種ではエネルギー・水といったインフラ系、学術研究、情報通信であり、平均値よりも2~3ポイント高く、一方、卸・小売、自治体や中央官庁などの行政、不動産は低くなっています。部門では人事が24%と平均よりもかなり高い結果となっています。

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日本における属性ごとの利用率比較(最低利用率の平均値7%)
出典:日米企業におけるChatGPT利用動向調査

事務効率化が7割を占め、アイディア生成やコーディングはまだ2割と少ない

調査からChaGPTを利用する目的は日米ともに「既存業務の効率化」が大半を占め、「新規事業での活用」や「教育・研修の高度化」は次なる目標として位置づけています。

ChatGPT利用者に具体的な用途を聞くと、日本では利用率の高い順に文章生成、要約、校正・構造化、情報検索となっています。具体的には「メールなどの定型文を作成する」「議事メモを要約する」「膨大な情報があるときの整理」など、業種や部門に寄らない、事務作業を効率化する用途が高くなっています。

利用率の高い人事部門では「面接の質問案」「求人票の言い回し」などアイディアの生成にも利用されている。先行する米国では日本よりも用途が幅広く、「アイディア生成」などクリエイティブな作業、GPT4を活用した「自然言語でのコーディング」の割合も高くなっています。

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ChatGPTの利用用途
出典:日米企業におけるChatGPT利用動向調査

49%の企業が「回答の精度」を課題視

生成された内容について満足度を聞くと、用途ごとに若干の温度差はあるが10段階評価で概ね6~7点と評価しています。さらに、9割以上の利用者が「今後も利用継続したい」と回答しています。

利用を維持・拡大するための課題は、日米とも「回答の精度」が5割弱を占めています。満足度や利用継続意向は高いため、より高精度な回答を求めていると推察されるとしています。

ChatGPTでは指示の出し方(プロンプト)で結果が大きく左右されることから、現状はプロンプトをSNS、まとめサイトなどを通じて個人間や特定のコミュニティで共有が進んでいます。

ソフトバンクやパナソニックなど全社での利用を進め、自社で使いやすさを見つける先進企業も出てきています。現時点では個別の取り組みとなっているが、今後はより広いハブを構築し、業界や業務ごとにより良いプロンプトや活用事例を整理する必要も出てくるとしています。

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ChatGPTを利用維持・拡大していく上での主な課題
出典:日米企業におけるChatGPT利用動向調査

今回の調査では利用率、同一企業内で利用している社員の割合(ChatGPTの浸透度合い)、利用頻度、用途数のどれを比較しても、米国に比べ日本が低位となっています。

「ルール整備」を課題とする企業は日本よりも少ない一方、「従業員の理解(不安の排除)」が34%と上位となっています。

米国では社内で広く使っていくことを前提に、雇用機会の観点で「従業員にどう説明し、使っていくか」が課題となり始めている点も挙げています。ChatGPTを試すスタートダッシュでは日米間で差が出てしまった格好になっているとしています。

足元では日本企業のChatGPTに対する関心も高く、ITベンダーはコンサルから利活用までの一括支援、既存製品や他の生成AIも含めたソリューション化(マルチモーダル対応含む)、国産の大規模言語モデル(LLM)開発着手など動きを強めている点も紹介しています。ChatGPTノウハウのハブ機能を持ち、適切に横展開できれば、利用率押し上げ、業務・業界に特化したソリューションやLLMの構築にも期待が持てるとしています。

政府は「AI戦略会議」での取りまとめやG7と共同で議論する「広島AIプロセス」でルール整備を進め、「新しい資本主義」の中では開発と利用を後押しするとしており、いずれも具体策はこれからとなるが、市場の今後を左右する大きな要因となるとしています。

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