画像生成AIの著作権の位置づけは? AIと著作権の関係等について
内閣府は2023年5月15日、「AI戦略チーム(第3回)」を開催しました。
今回はこの中から、AIと著作権の関係についてとりあげたいと思います。
AIと著作権の関係等についての基本的な考え方は、
・著作権法では、著作権者の権利・利益の保護と著作物の円滑な利用のバランスが重要
・著作権は、「思想又は感情を創作的に表現した」著作物を保護するものであり、単なるデータ(事実)やアイデア(作風・画風など)は含まれない
・AIと著作権の関係については、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」では、著作権法の適用条文が異なり、分けて考えることが必要
として、以下の資料のとおり、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて整理しています。
「AI開発・学習段階」では、AI開発のような情報解析等において、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能であると位置づけています。
ただし、「必要と認められる限度」を超える場合や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は、この規定の対象とはならない、としています。
一方、「生成・利用段階」では、AIを利用して画像等を生成や生成した画像等をアップロードして公表、生成した画像等の複製物(イラスト集など)を販売するといった場合において、以下の点をあげています。
・AIを利用して生成した画像等をアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様
・生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる
今後の対応としては、
・上記の「現状の整理」等について、セミナー等の開催を通じて速やかに普及・啓発
・知的財産法学者・弁護士等を交え、文化庁においてAIの開発やAI生成物の利用に当たっての論点を速やかに整理し、考え方を周知・啓発
・コンテンツ産業など、今後の産業との関係性に関する検討等について
としています。
出典:AI戦略チーム(第3回) 2023.5.15