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レジリエンス社会の実現に向けた産業政策研究会 中間整理

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経済産業省は、気候変動による自然災害の激甚化に対処するため、レジリエンス社会の実現に取り組んでおり、2023年4月11日に「レジリエンス社会の実現に向けた産業政策研究会 中間整理」を公表しました。

その概要をとりあげたいと思います。

目指す方向性は、多様なステークホルダーと連携し、総合的な防災・災害対応を推進することです。経済産業省は、イノベーション事例を創出し、レジリエンス社会の方向性と成長戦略を明示することが求められています。

具体的な取り組みとして、防災投資に対する企業の需要を創出し、DX・スタートアップやオープンイノベーションを含む供給側の参入を促進します。

また、先進技術を活用して自治体の防災対応をアップデートし、海外での成長市場を獲得することを目指しています。

レジリエンス社会の実現では、革新技術の創出拡大・社会実装を進め、災害発生の抑制・被害最小化・回復の迅速化・良い復興を実現することがミッションステートメントです。また、先進技術を海外展開し、世界のレジリエンス向上に貢献し、海外の成長市場を獲得することが目標です。

経済産業政策の新機軸として、市場規模や必要な製品・サービスを明確化し、経済産業省は政策面で積極的な役割を果たします。

これにより、国内投資・イノベーション・所得向上の3つの好循環に至るパスが具体化され、5-10年の取り組みの進捗を把握するための指標が策定される予定です。

日本政府が防災分野におけるイノベーションを推進するための具体的な政策検討の方向性を提案しています。政策提言は、以下の3つの観点から検討されています。

  1. 防災対応のDX化と先進技術活用の促進
  • 先進技術の活用による防災対応の効率化が可能であるが、自治体の防災予算にはデジタル技術に振り向けられるものが少ない。
  • 先進的な防災技術の活用の経済的効果を試算し、自治体等の検討材料に資する調査分析を検討。
  • 自治体に製品・サービスを納入する企業と自治体防災行政のミスマッチを整理し、乗り越えるための政策対応を検討。
  1. 防災に係る官民連携のあり方に関する検討
  • 平時は流通在庫として活用される民間所有の物資を、発災時の非常用物資として利用することで、防災行政の効率化が図れる。
  • 物資やサービス分野においても、官民連携により防災対応の高度化・効率化が図れる方策を検討。
  1. 日本の優れた製品・サービス・技術の海外展開に向けた取組
  • 防災分野に取り組む「文化」が展開先に根付いておらず、海外展開に妨げになっている可能性がある。
  • 日本企業の製品・サービスの海外展開を支援するために、防災に関連する各分野の国際標準化の取組の推進や、関連する国際会議との連携を検討。
  • 政府も日本企業と連携しつつ、地方政府との関係構築に貢献し、国際機関との連携を有意義に活用することが必要。

経済産業省では、今後の中長期的な検討について

「経済産業政策の新機軸」では、各政策テーマについて5~10年腰を据えて取り組むとし、特に今後5年間を集中取組期間。今後、進捗を把握する指標を設定しつつ、各取組を具体化していくとしています。

また、「レジリエンス社会の実現」に向け、関係府省庁と連携しつつ、まずは具体的な事例創出を目指しつつ、そうした取組を横展開するための制度・国際標準・国際枠組と一体となった政策展開を行うとしています。

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出典:経済産業省 レジリエンス社会の実現に向けた産業政策研究会 中間整理 2023.4.11

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