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「歩行空間における移動支援サービスのDXによる 普及・高度化の実現に向けて

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国土交通省は2023年3月29日、『「歩行空間における移動支援サービスのDXによる 普及・高度化の実現」に向けた提言』を公表しました。

国土交通省では、歩行者移動支援サービスの普及促進に向けた取組を実施してきました。

本取り組みでは、一定の成果はでているものの、データ整備・更新などには課題があり、また、ロボットの登場など新たな環境変化や技術発展を踏まえ、方向性を見直す必要があるとしています。

このため、平成26年4月に設立した「ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進検討委員会」において、これまでの取組や最近の情勢などを踏まえた上で、今後取り組むべき課題やその方向性について再整理し、このたび新たな提言をとりまとめています。

新たな提言を踏まえ、国土交通省では、新技術を活用し、人にもロボットにも双方に活用できるデータの在り方などを検討していくとしています。

本取組を推進するために、国・自治体や民間事業者、障害者団体などの関係者が集まり、自由に意見交換や問題提起、課題共有などが出来る場の構築を予定しています。

目指すべき将来像ではレベル1からレベル4まで設定しています。

従来の施策目標である「歩行者移動支援サービスの普及」をさらに発展させた、「歩行空間における人・モノの移動支援サービスの普及・高度化」が期待されています。

そこで、歩行者移動支援サービスレベルを「レベル1」~「レベル4」まで定義し、目指すべき将来像を「レベル4」としています。

ただし、「レベル4」の実現には周辺環境が十分に整うことも条件となり、今しばらく時間を要することが想定されるため、当面は、従前の「レベル2」の充実、並びに、「レベル3」の実現を目標とすることを提案しています。

その際、障害者向けサービスの普及・高度化と自動走行ロボットによるビジネス展開が密接な関係があるものとして着実に進んでいくよう、常に双方の関連性を念頭に置きながら各種取組を進めていくことが重要であるとしています。

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本提言で提案する歩行者移動支援サービスのサービスレベルの定義
出典:国土交通省 「歩行空間における移動支援サービスのDXによる 普及・高度化の実現」に向けた 2023.3.29

歩行者移動支援に関わる周辺環境の変化、技術の発展では以下の動きが紹介されています。

・自動走行ロボットの登場
・3次元データの収集・処理技術の進展
・データの高度化・多様化
・測位技術の進展

これから取り組むべき施策の方針では、バリアフリー施策や施設管理を担当する市町村などが主体となって移動支援サービスの提供に資する様々な情報をオープンデータ化し、それらを活用する民間事業者などによって利用者のニーズに沿った多様なサービスが展開されるために必要な環境を整備していくとしています。

加えて、第2章で示した課題を踏まえた上で、第4章で示した目指すべき将来像に向け、以下取組を実施していくとしています。

(1)データ整備・更新の効率化

・バックパック型やドローン搭載型のレーザースキャナなどを活用してより効率的にデータを取得したり、歩行空間ネットワークデータやバリア情報を自動生成したりするなど、作業の効率化を図るための技術検討
・道路管理などで取得・整備した3次元点群データの活用や、他プラットフォームとの連携可能性の検討
・行政だけでなく、市民参加などによるデータ更新の仕組みを実施できるようにするための検討

(2)オープンデータ化のさらなる促進

・国土交通省で整備した「歩行者移動支援サービスに関するデータサイト」の機能性・操作性の改善
・データの整備・更新と利活用を容易に行うことが可能なデジタル基盤の整備
・施設管理やバリアフリーマップ作成と、本施策に必要なデータや作業との統一化などの工夫や仕組みの検討

(3)新たなニーズへの対応

・簡易的にデータ整備が行えることも考慮しつつ、利用者ニーズに合わせた柔軟なバリア選択を可能としたり、視認性向上のための画像データを追加したりするなどのデータ整備仕様の改善検討
・パーソナルモビリティと自動走行ロボットの双方の移動に活用できる3次元点群データの精度などのあり方やデータ共有の方法などの検討
・3次元点群データの活用を視野に入れた、視覚障害者向けサービスに必要なデータ仕様などの検討
・ロボットによるエレベータ制御や、ロボット遠隔監視業務への障害者の就労支援などについて関係者の検討に資する基礎材料となる関連情報の収集や提供
・個別避難計画の作成など、障害者向け避難支援サービスなどの提供に向け、ハザードマップなどとの連携を想定した歩行空間ネットワークデータの整備や避難所の位置情報などの関連データのオープンデータ化の検討

(4)認知度や訴求力、実行力の向上

・データ整備主体・利用主体ともに認知度を向上させるため、講習会や広報などの周知活動
・関心の高い自治体における実証事業や、大規模な集客が見込まれるイベントのタイミングでの実績づくり
・関係者間での情報共有のため、国・自治体や民間事業者、障害者団体などの関係者が集まり、自由に意見交換や問題提起、課題共有などができる場の構築

(5)進捗状況の把握などによる効果的な取組の推進

・取組の進捗状況を定期的に把握し、必要に応じて課題分析や追加対策を講じるなどして効果的に取組を推進
・進捗状況を把握可能な指標の開発も視野に

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