オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

デジタル田園健康特区の取組

»

内閣府の国家戦略特区は2023年3月16日、「第1回加賀市・茅野市・吉備中央町革新的事業連携型国家戦略特別区域会議」を開催しました。

本会議から、デジタル田園健康特区のこれまでの経緯等についてとりあげたいと思います。

国家戦略特区では、革新的事業連携型の国家戦略特区の枠組みを活用し、健康・医療分野等における革新的な事業を先行的に実施するため、3自治体の連携による取組を強力に推進しています。

デジタル技術を活用し、健康・医療などをはじめとした地域の課題解決に重点的に取り組むことにより、「デジタル田園都市国家構想」を先導するモデルとなることを目指しています。

デジタル田園健康特区における特定事業などは以下のとおりです。

<健康・医療>
・ 救急医療や在宅医療等におけるタスクシフトの推進
・ 妊産婦健診情報を踏まえた先端的な予防医療サービス
・ AI技術等を活用した遠隔医療・リハビリや介護サービスの充実
・ 情報銀行等を通じた健康・医療データの幅広い連携・活用
<移動・物流>
・ 医薬品等の効率的配送
・ 高齢者等の通院・外出支援サービスの提供
<その他>
・ 健康・医療などをはじめとした分野における創業促進等
・ 各種分野のサービス提供を支える通信設備や基盤データの整備

スーパーシティ・デジタル田園健康特区における新たな規制改革事項で、「デジタル田園健康特区」では以下の4つの事項に取り組んでいます。

○ 救急医療や在宅医療等におけるタスクシフトの推進
・救急救命処置の範囲の拡大に関する先行的な実証
【2022年度中に結論】
・妊産婦の糖尿病治療等に係る保険適用の明確化
【2023年度早期に措置】

○ 情報銀行等を通じた健康・医療データの幅広い連携・活用
・情報銀行における要配慮個人情報の取扱いの検討、必要な措置 【2023年度早期に措置】
・保険者から委託されてPHR事業を行う際の被保険者番号の告知要求制限の解釈の明確化
【2022年度中目途措置】

○ 医薬品等の効率的配送
・現行制度下ではカバーできない貨客混載の具体的なニーズ等への対応 【2023年度速やかに措置】

○ 健康・医療などをはじめとした分野における創業促進等
・起業準備活動期間の延長(6月→1年半)に関する特例 【2022年12月措置】 (再掲)

そして、重要なのが健康医療情報の自治体を超えたデータ連携の実現です。

事業実施エリアは、デジタル田園健康特区(岡山県吉備中央町、長野県茅野市、石川県加賀市)です。

先端的サービスのポイントは、健康医療情報の自治体を超えたデータ連携の実現を図るデジタル田園健康特区において、HL7・FHIRを核として各地域で構築されるPHR/EHRを連携し、高齢者等の健康増進の支援や健康医療データの二次利用の促進を目指しています。

この取組の実施にあたって現状の課題をあげています。健康医療情報の標準化を阻害する要因では、
・標準仕様への変更に伴う業務追加やシステム改修コストを負担する余力がない(特に小規模事業者)
・自治体データ、IoTデータなど、これまでの医療の標準化の枠にあてはまらないデータもまとめる必要がある
・地域や業種独自のID管理により、標準形式へのデータ統合が困難
・二次利用に必要なエビデンスを確保するために仕様が膨らむ

といったことをあげています。

具体的な事業内容では、・ デジタル母子健康手帳、PHRサービス、IoTデバイス等のデジタル田園健康特区の先端的サービスで活用される各種データを対象として、今回試作するデータエクスチェンジ機能を通じて他業種・小規模ベンダーのデータを標準規格(HL7・FHIR)に変換するなどデータ連携の実現に向けた実証・調査を行うとしています。

スクリーンショット 2023-03-25 181804.png

健康医療情報の自治体を超えたデータ連携の実現
出典:内閣府 第1回加賀市・茅野市・吉備中央町革新的事業連携型国家戦略特別区域会議 2023.3

調査事業の実施項目は、 健康医療情報の自治体を超えたデータ連携の実現に向け、内閣府の調査事業において、①複数事業者のデータの標準規格への変換、②データ基盤間のデータ交換、③データ連携の在り方およびID管理の3テーマを実施していくとしています。

スクリーンショット 2023-03-25 183000.png

調査事業の実施項目(概要)
出典:内閣府 第1回加賀市・茅野市・吉備中央町革新的事業連携型国家戦略特別区域会議 2023.3

先端的サービスの実装イメージは、
・保管場所も情報の形もバラバラになってしまっている個人の健康医療情報を、Exchange機能を通じて、ひとまとまりに統合(データ連携)
・ ライフコースの様々な場面で必要な情報を自分自身で一元的に把握、本人同意の下で医療機関等に共有できることにより、個人の健康増進、質の高い医療等を実現。
をあげています。

スクリーンショット 2023-03-25 183031.png

先端的サービスの実装イメージ
出典:内閣府 第1回加賀市・茅野市・吉備中央町革新的事業連携型国家戦略特別区域会議 2023.3

Comment(0)