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デジタル社会実装基盤の実装、アーキテクチャー、ルール整備

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経済産業省は2023年3月1日、「第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会」を開催しました。

今回はこの中から、デジタル社会実装基盤の実装、アーキテクチャー、ルール整備についてとりあげたいと思います。

人口減・少子高齢化が進む日本では、中山間地域など地域のコミュニティ維持が大きな社会課題となっています。

ドローンを使った生活必需品の配送、自動運転によるデマンド交通サービスなど、人手に頼らないデジタルサービスの提供基盤を全国津々浦々に整備できなければ、生活必需サービスの撤退が相次ぎ、地方に快適に住み続けることは難しくなっています。

災害時においても、これらのサービスを転用して迅速に被害状況を把握し、救援物資を届けられなければ、支援の遅れにより助からない命が増えるのを避けられない状況と指摘しています。

特に、空間移動を伴うデジタルサービスの基盤は本来的に地域横断的に整備すべきであり、また、道路などの物理インフラと制御システムを足並み揃えて整備していくことが不可欠とし、不採算になりやすい地域も含めデジタルサービスの持続的な提供を可能とするには、以下の視点を踏まえて、デジタル社会実装基盤を国の関与のもと計画的に整備していく必要があるとしています。

整備のポイントは、①安全性・信頼性の担保、②全国どこでも誰もが使える環境、そして、③事業性の確保の3つをあげています。

こういった状況の中、経済産業省ではデジタル社会の実現に向けて、下記のようなソフト・ハード・ルールに渡るデジタル社会実装基盤を、全国規模で整備する必要があるとし、例として以下のとおりまとめています。

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デジタル社会実装基盤の例
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

デジタル社会実装基盤のアーキテクチャ設計の例として、自律移動ロボットをあげています。例えば、モビリティ分野における自律移動ロボットサービスを提供するに当たっては、それを支えるデジタル社会実装基盤(ソフト・ハード・ルール)に関する、以下のようなアーキテクチャ設計が必要となります。

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(参考)デジタル社会実装基盤のアーキテクチャ設計の例:自律移動ロボット
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

自律移動ロボット・システムが社会実装されるためには、デジタル社会基盤(ソフト)として、異なる基準に基づいた空間情報であっても一意に位置を特定できる「3次元空間ID」の検索キー(インデックス)が必要となります。これにより、鮮度の高い様々な空間情報を簡易に統合・検索したり、軽量に高速処理することが可能になるとしています。

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デジタル社会実装基盤(ソフト)の例:3次元空間情報基盤
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

デジタル社会実装基盤(ハード)の例では、インフラシェアリングをあげています。

自律移動ロボット・システムが社会実装されるためには、デジタル社会実装基盤(ハード)として、安全かつ効率的な運行を支えるIoTインフラの積極的な利活用が必要です。

IoTインフラの整備に当たっては、モビリティとIoTインフラ側の機能分担を明確化するとともに、利用者のニーズに応じた柔軟なインフラサービスの提供を可能とするため、各インフラを自由に組み合わせることができるように、移動式・可搬式のインフラ等も視野に入れて、インフラ連携の規格を整備していくとしています。

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デジタル社会実装基盤(ハード)の例:インフラシェアリング
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

そして、デジタル社会実装基盤(ルール)の例として、ガバナンスイノベーションをあげています。

従来の一律で詳細なルールに基づくガバナンスのみでは、社会・ユーザーのニーズや技術がダイナミックに変化するとともに、様々なシステム(モビリティ、IoTインフラ等を含む)が相互に連携するシステム・オブ・システムズに対応することが難しいことをあげています。

そのため、各システムのデータを可視化して、アルゴリズム化したルールに基づいて、制御を自動化・最適化するとともに、事故時(ヒヤリハット含む)の原因究明や対策を即座に講じることや、システムやデータに関するトラストを保証する仕組みを構築するなど、データを活用したEBPMを実践する前提で、ガバナンスの在り方を変革することが必要としています。

経済産業省では、こうした取組について実効性を確保するため、マルチステークホルダーで継続的に改善を行うことをインセンティブ付ける、損害賠償責任や刑事制裁の在り方を含む法制度改革について関係省庁と検討を行い、結論を得た上で、2025年目処で実装する計画です。

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デジタル社会実装基盤(ルール)の例:ガバナンスイノベーション
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

「デジタル社会実装基盤全国総合整備計画」に関連する枠組みの全体像にて、今後のスケジュール案として以下のとおり示しています。

全国津々浦々にデジタル化の恩恵が効率的・効果的に行き渡るようにするには、デジタル社会に必要なハード・ソフト・ルールの全体像を整理したアーキテクチャが必要。地域毎、分野毎の虫食いを避け、アーキテクチャに沿って、官民が連携して投資を活性化していく環境整備を行っていくとしています・

このため、デジタル田園都市国家構想会議における総理指示も踏まえ、経産省を中心に、デジタル社会実装基盤を全国に整備するための長期計画「デジタル社会実装基盤全国総合整備計画(仮称)」を策定予定となっています。

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「デジタル社会実装基盤全国総合整備計画」に関連する枠組みの全体像
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

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