日本におけるGX実現の意義と、GXにおける日本成長のポテンシャル
経済産業省は2023年3月1日、「第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会」を開催しました。
今回はこの中から、日本におけるGX実現の意義と、GXにおける日本成長のポテンシャルについてとりあげたいと思い舞うs。
気候変動問題という人類共通の課題に対して、地球規模での対応が求められる中、カーボンニュートラル目標を表明する国・地域が急増し、GDP総計で世界全体の約90%に達するなど、世界的に脱炭素の機運が高まっています。
既にEUでは、10年間に官民協調で約140兆円程度の投資実現を目標とした支援策や、域内産業・域外からの輸入品に対するカーボンプライシングを決定し、一部の加盟国は、加えて数兆円規模の対策を措置しています。
また、米国では、超党派でのインフラ投資法に加え、本年8月に10年間で約50兆円程度の国による対策を決定。さらに、韓国・中国等も、排出量取引制度の有償化を含めた動きを加速しています。
こういった状況の中、GX投資等によるGXに向けた取組の成否が、企業・国家の競争力に直結する時代に突入しています。
日本において、GXの実現は、産業革命以来の化石エネルギー中心の産業構造・社会構造をクリーンエネルギー中心へ転換するものであり、単なるエネルギー需給構造の転換にとどまらず、「失われた30年」とも言われてきた経済を再び成長軌道に乗せ、将来の経済成長や雇用・所得の拡大につなげていくための最重要課題となっています。
こうしたことを踏まえ、「成長志向型カーボンプライシング構想」をはじめとする新たな政策イニシアティブを早期に具体化し、併せて「今後10年を見据えたロードマップ」を策定した上で、速やかに実行していくとしています。
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1
GXによる日本の成長ポテンシャルをみてみましょう。
GX関連分野における日本の成長ポテンシャルは大きいとの分析が複数あり、日本のポテンシャルを最大限活用・発展させることで、競争力強化と排出削減を同時に実現可能としています。
例えば、事業収益全体に占めるGX関連収益※1の割合は、日本がドイツに次いで2番目。日本は、ハイブリッド車を中心とした自動車の収益、次いでエネルギー効率の高い産業用製品等の収益が大きくなっています。
また、日本はGX関連技術のポテンシャルも大きい。例えば、企業が有するGX関連の特許スコアは、日本が最も高く、次いで韓国、ドイツの順。日本の内訳をみると、「自動車」と、「エネルギー供給」の割合が大きくなっています。
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1
日本の削減目標の野心度と、世界におけるカーボンニュートラル(CN)宣言の状況をみてみましょう。
世界では、カーボンニュートラル(CN)目標を表明する国・地域が急増し、そのGDP総計は世界全体の約90%を占めています。
こうした中、日本は、2050年CNに向けて、2030年度GHG排出量を2013年度比46%削減するという野心的な削減目標を設定しています。諸外国の2030年における削減目標を2013年度比に換算すると、日本の目標は高い水準です。
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1