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サプライチェーン・バリューチェーンのGX・DXに向けたデータ基盤の構築と具体的方針

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経済産業省は2023年3月1日、「第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会」を開催しました。

今回はこの中から、サプライチェーン・バリューチェーンのGX・DXに向けたデータ基盤の構築と具体的方針について、とりあげたいと思います。

グローバルで進展する、自動車分野を中心としたサプライチェーン・バリューチェーンのデータの共有・活用の取組も踏まえ、我が国でも取組を進めていくとしています。

サプライチェーン・バリューチェーンは国内に留まらないことから、GX・DXの実現に当たっては、海外の取組との相互運用性を確保できるようなデータの共有・活用の仕組みの構築が必要となっています。G7でも相互運用性の重要性を強調されています。同時に、これから取り組む海外の地域・企業とともに創り上げることでエコシステムを拡大していく必要性をあげています。

先進事例として、ドイツのCatena-Xの取組や、テスラ者とのCHC排出量可視化等の取組をあげています。

これらの取組に向けての具体的方針(設計フェース)でポイントとなるのが、データ連携基盤の構築です。

顧客、製品、生産活動、取引等に関する実績・計画の情報について、まずはデータとして可視化した上で、様々な企業がAIも活用しながらデータの利活用について創意工夫しやすい環境を整備することで、現場の知恵を活かしたオペレーション・生産活動等の自動化や最適化に繋げる。そして、これを実現するために、情報のデータ化、データの連携、データの利活用を安価かつ簡便に利用できる基盤としてデータ連携基盤を構築することの重要性をあげています

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具体方針(設計フェーズ):データ連携基盤の構築
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

具体方針の開発・実証フェーズでは、分散的なデータ連携に必要な機能の開発が重要となります。運用者の異なる多数のシステムが分散的に連携する仕組み※としてデータ連携基盤を構築するため、レイヤー構造やモジュール構造、インセンティブ構造を整理し、グローバルのデファクト・デジュールスタンダードとの相互運用性の確保に留意しながら、識別子やデータモデル、インターフェースの整備等を行っていくとしています。

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具体方針(開発・実証フェーズ):分散的なデータ連携に必要な機能の開発
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

具体方針の社会実装フェーズ)では、公益デジタルプラットフォーム(仮)の認定制度をあげています。

企業を跨いでサプライチェーン・バリューチェーン上のデータを共有して活用する(データ連携基盤の構築)に当たっては、企業の営業秘密の保持やデータ主権の確保に加えて、幅広い事業者が参画してエコシステム全体でネットワーク効果やシェアリングエコノミーの恩恵を享受できるようにすることが重要としています。

この観点から、データ連携基盤の担い手には一定程度の公益性が求められると想定されるため、これを担保する仕組み(例:公益デジタルプラットフォームの認定制度)が必要としています。

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具体方針(社会実装フェーズ):公益デジタルプラットフォーム(仮)の認定制度
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

先行ユースケースでは、蓄電池CFP/DD データ連携基盤の開発・実証をあげています。

先行的な取組として、車載用含む蓄電池のトレーサビリティを確保するためのデータ連携基盤を構築中で、今後、自動車の他製品にも横展開することを想定しています。

また、本基盤では、サプライチェーン上の各企業の営業秘密の保持を担保しながら必要なデータを第三者と連携する仕組みの実現を目指し、また、データ連携基盤を協調領域として整備することで競争領域において様々な企業が参入しやすいエコシステムを志向していくとしています。

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先行ユースケース(蓄電池CFP/DD データ連携基盤の開発・実証)
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

今後の展開では、自動車分野を中心にスコープの拡大を検討しています。
蓄電池のCFP、DDから実装をはじめ、GXやサーキュラーエコノミーの実現に向けたトレーサビリティ管理をユースケースとして仕組みを確立し、順次、関連するユースケースに展開することで、GX・DXを実現していくとしています。

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今後の展開:自動車分野を中心にスコープの拡大を検討
出典:経済産業省 第12回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 2023.3.1

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