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DAO(1)DAOに対する期待と課題

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DAOについて、何回かに分けて、DAOに関する内容を投稿したいと思います。

デジタル庁は2022年12月27日、「Web3.0研究会報告書」を公表しました。この中から、DAOの概要、DAOに対する期待と課題について、とりあげたいと思います。

分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization。「DAO」)は、ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを活用し、中央集権的な管理機構を持たず、参加者による自律的な運営を目指す組織形態として、これまで実現できなかった全く新しいガバナンスの在り方として期待が集まっています。

Web3.0 では DAO が新たな組織体として活用され、そのグローバルで公平・効率的な組織活動に期待がかけられる一方、DAO と一口に言ってもその定義や活用方法が取り組みにより多種多様であり、定石がまだ確立されていない黎明期の分野です。

世界の市場をみてみると、様々な目的・機能を有する組織が DAO として運営されており、グローバルでは法規制の適用を避けながら多額の資金を集めるツールとして使われている事例も存在しています。

日本では、地域創生やアーティスト支援など、営利を主たる目的としない活動において DAO の活用が注目されていることから、デジタル庁では、こうした活動にどのようなガバナンス、インセンティブメカニズムを入れることが望ましいか、DAO という組織形態を選択する意義がどこにあるのか、といった点についての共通理解の醸成に向けて、様々な試行錯誤が可能となるような環境整備の在り方は重要な検討課題として挙げています。

法制度が無いことによる不透明さ等の課題が散見されると共に、米国ワイオミング州での DAO 法施行に見られるように様々な地域が DAO の可能性を最大限生かす行政上の措置を検討しています。こうした状況を踏まえて、日本においても適切な内容及びタイミングでの対応が取れる備えとして、日本の現行法における DAO の位置づけ並びに法人格の有無を含めた今後考えうる DAO の法的な定義の方向性を検討しています。

DAOに対する期待と課題では以下のように整理しています。

DAOに関する期待では、

・グローバルに多様で多くの人々を活動に巻き込むことができる可能性がある
・参加者の利害を一致させることでコモンズの悲劇を避けることができる可能性がある
・スマートコントラクトの活用により公平で効率的な組織運営が可能となる
・ブロックチェーンによる高い透明性を活かして公平性が担保できる

DAOに関する課題では、

・法制度が追いついておらず、一般には法人格が無いため、契約締結等の取引行為に制限がある
・多くの人が匿名で薄く関わり意見集約に手間暇がかかりかつ困難である(衆愚政治になりかねない)
・責任の所在があいまいで規制の潜脱や犯罪行為の目的に悪用されかねない

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出典:デジタル庁 日本におけるデジタル資産・分散台帳技術の活用、事業環境整備に係る調査研究 最終報告書 2022.12

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