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国内データ流通プラットフォームの動向、リアル空間に関するデータの活用によって創出される代表的なユースケースは 〜IDCの調査から

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IDC Japan は2021年12月8日、「国内データ流通プラットフォームの動向に関する調査結果」を発表しました。

IDCでは、ここでのデータ流通プラットフォームとは、異なるソース(センサー、IoT機器、情報システムなど)から収集したさまざまなデータを連携させることによって新たな価値を生み出すための広域データ基盤を指しています。

今回は、リアルな空間(屋外、屋内)に関するデータを活用することによる価値創出のユースケースと、それらの実現に向けた国内でのデータ流通プラットフォーム構築、さまざまなシステムから共通的に参照される基本データとしての地図データなどに関する取り組みを調査しました。

リアル空間に関するデータの活用とそれによって創出される代表的なユースケースを以下のとおり、まとめています。このようなデータから新たな価値を生むには、複数のデータの連携が必要となるケースが多く、一方で、1つのデータソースが複数のユースケースで活用できることも見て取れるとしています。

データ流通プラットフォームや地図データに関する取り組みも活発化しており、前者の最も代表的なものとして、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に盛り込まれた「DATA-EX」をあげています。

データ流通プラットフォームは、単にデータを流通させるだけでなく、その上で新たなアプリケーションを構築するための開発プラットフォームとしての役割が増しているとしています。

データ流通プラットフォームの今後の展望として、政府や企業などへの同プラットフォームの導入が進むことでデータ連携のハードルが下がり、ユースケースを実現するための取り組みの加速が期待されます。また、今後は、CPS(Cyber Physical System)を通じて、人やモノが周囲を認識することで、相互のインタラクションや対象物の自動制御などが可能になると考えらるとしています。

一方で、課題もあげています。その一つがプライバシーの保護です。公共空間のデータ化にあたっては、カメラで撮影した画像を多く用います。カメラに映る人が誰かを認識し、その人のパーソナルデータを活用できれば、より付加価値の高いサービスを提供できます。

その一方で、プライバシーは十分に保護される必要があり、現状では、このようなデータの扱い方の詳細に関して社会的コンセンサスが醸成されていないため、ステークホルダーが多い場合、意見がまとまりにくいといったことに直面するケースも多いとIDCでは指摘しています。

IDC Japan は、

今後、データ流通プラットフォームで多くのデータが扱われるようになると、ITの専門家でない人でも、プラットフォーム上で新しいデータの追加や処理方法の変更などができる必要がある。プラットフォームを提供する企業は、API(Application Programming Interface)のオープン化、ローコード/ノーコード、Web規格(例:W3C Web of Things)の採用などによって技術的なハードルを下げ、市場の裾野を広げるべきである

とコメントしています。

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出典:IDC Japan国内データ流通プラットフォームの動向に関する調査結果 2021.12

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