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デジタル広告の意義と市場構造、課題

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政府のデジタル市場競争本部は2021年4月27日、「第5回 デジタル市場競争会議」を開催しました。

この中から、デジタル広告の意義と市場規模、そして、課題についてとりあげたいと思います。

デジタル広告市場の意義は、中⼩企業等の顧客アクセスを容易にし、インターネットの無償サービスを支える「インフラ」として、重要な役割を担っています。

デジタル広告費は年々増加し、2019年に初めてテレビメディア広告費を抜き、2020年には年間約2.2兆円(前年比106%)となり、⽇本の広告費全体(約6.2兆円)の36%を占めるまでに成長しています。

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出典:第5回 デジタル市場競争会議 2021.4

デジタル広告の市場構造もみてみたいと思います。

デジタル広告市場は、⾃らのWebサイト等の広告枠を販売するパブリッシャーと、広告枠を買って広告を出稿する広告主、両者を仲介するプラットフォーム事業者やアドテク事業者等の仲介事業者などからなる市場と、位置づけられています。

多様なデータから分析して個⼈の嗜好等に合わせた広告を配信するターゲティング広告等、新たな技術が⽣まれ急速に発展しています。

高度に複雑化したシステムによって、個⼈がWebサイト等を閲覧した瞬間に、Webサイト等の媒体で広告枠を提供するパブリッシャーの広告枠と広告主が出稿する広告が、リアルタイムでマッチングされて配信。膨⼤な数の⼊札取引が行われています。

当初、デジタル広告技術を提供する多くのアドテク事業者の参入によって機能分化が進展(売り手を支援する機能、買い手を支援する機能など)したが、その後、マッチングを行うPF事業者の買収等により垂直統合が進展しています。

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出典:第5回 デジタル市場競争会議 2021.4

こういった中、デジタル市場にも課題が顕在化しています。

特に、競争環境の状況では、広告を仲介する事業者については、広告主は多 くの消費者に訴求できる媒体(例:Googleの場合はYouTube)を持つPF事業者を選び、広告枠を提供するパブリッシャーは多くの広告主をカバーするPF事業者を選ぶことから、両⾯でネットワーク効果が働き、寡占化しているとの声もあります。

プライバシー保護でデータ流通が制約される中で、データが特定のPF事業者に集中し、さらに寡占が進展する懸念されており、この結果、特定のPF事業者による市場の設計や運⽤における影響⼒が強まっています。

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