鍵となる人材の獲得を懸念しているCEOは年々増加、不足するAI/IT人材
経済産業省は2020年11月5日、「第21回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会」を開催し、イノベーション創出のためのリカレント教育に関して議論・検討を行っています。
今回のリカレント教育の対象は、
更なる社会参画のためのリカレント教育です。
対象となるのは、「イノベーションを起こす人材」となるハイエンドスキル人材の育成と、今行っている業務の高度化に寄与する「イノベーションを支える人材」となるミドルスキル人材の育成になります。
リカレント教育の現状をみてみると、日本は世界各国と比べると大きな遅れをとっています。
60歳まで転職経験が無い人の割合は、男性では32%、女性では6.5%となっており、更なる社会参画を後押しする要因が少ないと考えられます。
また、自己啓発における問題点の内訳を見ると、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が最も高く、次いで「費用がかかりすぎる」、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」となっています。
さらに、日本企業は、従業員に対する「学び直しへの支援」や「兼業・副業の経験」に対して消極的となっています。
労働市場のニーズをリカレント教育(再教育)にどれだけ反映できているかに関する国際比較 の結果、日本はOECD加盟国で最下位となっています。
こういった背景の中、従業員のスキルギャップは大きな課題となっています。
鍵となる人材の獲得を懸念しているCEOは年々増加しており、直近では8割に上っています。
出所:経済産業省 2020.11
また、第四次産業革命の進展により、世界的にAI/IT人材の獲得競争が激化しています。日本はAI/IT人材が不足しており、人材育成・獲得が急務。理数系の知見を有する人材やAI/ITやロボットの社会実装を進める人材も必要となっています。
出所:経済産業省 2020.11
テクノロジーの進展や感染症拡大が職業に及ぼす影響も大きくなっています。AI等のテクノロジーが促してきた、人間が担う職業やタスクの新陳代謝は、感染症拡大の影響により、更に加速する可能性も指摘しています。
出所:経済産業省 2020.11