ハイブリッド型バーチャル株主総会の活用状況
経済産業省は2020年7月22日、株主総会当日の新たな電子的手段の活用の在り方及び近年の内外の制度整備や実務の積み重ねを踏まえたさらなる対話のための環境整備等について検討するため、2019年8月に「新時代の株主総会プロセスの在り方に関する研究会」設置し、今回、『「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」報告書』の取りまとめを公表しています。
今回は、ハイブリッド型バーチャル株主総会の活用状況を中心にとりあげたいと思います。
本研究会は、ハイブリッド型バーチャル株主総会を実施する際の法的・実務的論点や具体的取り扱いを明らかにする「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定し、2020 年2月26日に公表しています。
2020 年 3 月以降の株主総会において、ハイブリッド型バーチャル株主総会は新型コロナウイルス感染症の拡大防止策としても検討され、さまざまなかたちで実施されてきています。
ハイブリッド型バーチャル株主総会の開催例は以下のとおりです。
出所:経済産業省 「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」報告書 2020.8
「出席型」においては議決権行使の方法や質問の受け付けに際し複数の方法が取り組まれています。
また、「参加型」も、株主の双方向のコミュニケーションの取り方にはいくつかのバリエーションがあげられています。
加えて、ライブ又は事後の動画配信は行わない場合でも、株主総会プロセスにおける質問受け付け及び株主総会当日又は後日の回答というかたちで、株主総会プロセスにおける双方向のコミュニケーションに取り組んだ企業もあげています。
このように、「出席型」に求められる「場所」と株主との間の双方向性と即時性の両方を満たすことは急な対応としては困難であったと考えられるが、「参加型」や株主総会プロセスを通じてインターネットを活用した双方向の株主とのコミュニケーションは、株主総会当日の在り方を考える上でも示唆に富む企業のプラクティスといえるとしています。
本研究会では、
インターネットの活用がウィズ/ポストコロナの時代にさらに進むことも踏まえ、より多くの株主が株主総会へのバーチャル参加又は出席を希望することになる可能性も念頭におき、バーチャル株主総会の活用に向けてのルールの在り方の検討や、円滑な実施のためのIT基盤・通信インフラ整備などの対応も急ぐべきとの指摘
もあり、新型コロナウイルスの影響により、株主総会のあり方は、変化が求められていくことになるでしょう。