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5G普及の鍵は、4K/8K高精細映像コンテンツのリアルタイム配信や機械学習による画像認識

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調査会社 IDC Japanは2019年8月28日、「5G(第5世代移動通信システム)の産業向け画像/映像IoT(Internet of Things)市場に関する分析」を発表しました。
IDCでは、4K/8Kなどの高精細画像/映像の伝送が、産業分野における5Gの最大のユースケースの一つであることが本調査で明らかとなっています。

5Gの特徴には、大きく、高速大容量、超高信頼低遅延、多数端末接続などの特徴があります。

中でも、4G(LTE)からの最も大きな進化の一つがアップリンク(上り)の高速化であり、これを最も生かすことができる産業分野の用途として、高精細カメラやイメージセンサーで取得した画像/映像データのアップロードがあげられています。

5Gによってこのような大容量データのクラウド送信のハードルが下がることで、データ分析/活用のさらなる高度化が期待されています。

具体的には、

(1)4K/8K高精細映像コンテンツのリアルタイム配信
(2)機械学習による画像認識
(3)3Dモデリングによる新たな価値提供

のユースケースにおいて、5Gの活用が進むとIDCでは分析しています。

5Gの本格普及には、通信モジュールの低価格化や基地局の配備で、サービス提供開始から数年を要するとし、企業などにおいて5Gの需要が増加するには、解像度の高い画像/映像アプリケーションの利用拡大や、センサーで取得した画像をAI(Artificial Intelligence)で分析するなどのイノベーションの進展が必要となるとIDCではみています。

IDCでは、早期に5Gの導入が進む産業分野の条件として

(1)生産性を高めるための設備投資に積極的である
(2)画像/映像活用の取り組みが成熟している
(3)特定企業の管理責任下で変革に取り組むことができる、の3つを挙げています。

(1)については、製造業における製品検査のためのマシンビジョンを始め、すでにイメージセンサーを活用した生産性向上や自動化に投資をしてきた産業分野の企業が、さらなる生産性向上に向けて5GやAIなどが積極的に導入する

(2)については、イベントのリアルタイム中継、パブリックビューイング、高精細VR(Virtual Reality)コンテンツ配信など、新たな映像価値提供への取り組みが進む

(3)については、5Gは今後、車両、ロボット、ドローンなど自律移動する機器に多く搭載されますが、これらの自律移動機器の普及は、その安全性に関する法制度整備の影響を受ける

と、それぞれ、予測・分析しています。

5Gでは、全国への基地局の面的展開に加えて、イベント会場や企業構内などその場の需要に応じたスポット展開も進むと予測しており、後者については、MNO(Mobile Network Operator)による5G通信サービスと、MNO以外による「ローカル5G」(エリア限定免許による5G)の構築/運用が競合するケースも多いとIDCでは予測しています。

IDCで は

5Gに対するニーズは、産業や場所によって大きく異なる。高解像画像/映像を活用し先進的な取り組みを行う企業で5Gの導入が速く進む。MNOもローカル5G提供事業者も、このような先進企業を5Gの初期のターゲットに含めるべきである

と分析しています。

スクリーンショット 2019-09-08 15.00.08.png

出所:IDC Japan 2019.8

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