自動運転の事業化に向けた公道実証プロジェクトで得られたデータの利活用
政府は2018年1月18日、「未来投資会議構造改革徹底推進会合「第4次産業革命」会合(第2回)」を開催し、事務局からは「行政からの生産性革命」と「自動走行の実現に向けた取組」について情報を公開しています。
今回は、「自動走行の実現に向けた取組」から日本の政策動向と自動運転の事業化に向けた公道実証プロジェクトで得られたデータの利活用について紹介をしたいと思います。
日本における自動運転に係る政策動向の主な取り組みは以下のとおりです。
<研究開発と技術面での検討>
□SIP自動走行システム(内閣府)
• 大規模実証実験を開始(2017年10月)
□第6期先進安全自動車(ASV)推進検討会(国土交通省)
• 自動運転の実現に向けたASVの推進を検討(2016年11月~)
<制度面、社会受容面等の検討>
□ 「自動運転に係る制度整備大綱サブワーキングチーム」(内閣官房 IT総合戦略室)
• 2017年度中を目途に高度自動運転実現に向けた政府全体の制度整備に係る方針(大綱)をとりまとめる
□「自動走行に係る官民協議会」(内閣官房 経済再生総合事務局)
• 官民連携の下、実証プロジェクトの進捗管理、実証の成果・データの共有、必要な制度整備等について協議(2017年8月~)
□「技術開発の方向性に即した自動運転の段階的実現に向けた調査研究」(警察庁)
• 道路交通法に関連する課題を検討(2017年8月~)
□「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」(国土交通省)
• 自動運転における自賠法の損害賠償責任のあり方について検討(2016年11月~)
□「自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究」(経済産業省)
• 自動走行に関するユーザー期待と技術のギャップ、事故時の責任関係を整理し、社会受容性を検証(2016年10月~)
<G7とその対応等の検討>
□ G7交通大臣会合(国土交通省)
• 高度自動運転技術の実用化に向けて、WP29における国際的なレベルでの協力を目指すことに合意(2017年6月)
□国土交通省自動運転本部(国土交通省)
• G7交通大臣会合、未来投資会議等の議論等を踏まえつつ、的確に対応するため設置(2016年12月~)
また、「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)では、官民が積極的に対話・協力する官民連携の仕組みの下、民間ニーズを踏まえた実証プロジェクトの工程管理、実証の成果・データの共有、必要な制度整備等を進めていくとしています。
自動走行実現のための基本方針としては、
■世界に先駆けた自動走行の社会実装により、日本の強みを活かし、社会課題を解決(交通事故削減、地域の人手不足や移動弱者の解消)
・社会に取り入れるための基本アプローチとして、自動走行のハード・ソフトの「技術」と「事業化」の両面で世界最先端を目指し、技術が完全に確立してからではなく、制度やインフラで補いながら、その時点の最新技術をいかして社会に取り入れていく(未来投資戦略2017(平成29年6月9日閣議決定))。
・将来的な自動走行車の事業化を見据え、混在交通下で実証を実施し必要なデータを取得。
としています。
公道実証プロジェクトで得られたデータについては、今後の事業化を見据えフィードバックのサイクルに乗せ、事業化に向けた課題を洗い出し、修正をしながら、より高度な実証となるよう取り組むとしています。
出所:未来投資会議 2018.1
実証・事業化にあたっての課題も山積しています。
事業者による実証や事業化検討等における制度上・運用上の課題の抽出し、個別具体的な制度上の障害や不明確な点について、事業者が制度当局にぶつけ、協働でルールを作成、課題解決を実施していくとしています。また、事業化にあたっての課題のうち、主に制度的事項を年度内の「大綱」へ反映していくとしています。
出所:未来投資会議 2018.1