国内エッジマイクロデータセンター数は2017年から2021年には4倍規模に
調査会社のIDC Japanあ2017年12月20日、「国内IoT向けエッジマイクロデータセンター数の予測」を発表しました。
IoTでは、センサーやデバイスなどの端末の近くでデータを分散処理することによって、端末利用者に対して高いレスポンスでサービスを提供することができ、端末近くでデータ処理することを、「エッジコンピューティング」と呼んでいます。クラウドサービスによる中央処理とは別に、こうした分散処理システムを配備するメリットに注目が集まっています。
IDCでは、エッジコンピューティングを行うシステムの設置場所を「エッジIT」と呼び、エッジITの中でもユーザー固有の業務処理を行うために、独立したスペースやフロアを設けてICT機器(サーバー、ストレージ、IoTゲートウェイ/ネットワーク機器)を設置する設備を、「エッジマイクロデータセンター」と呼んでいます。
今回の調査では、「コネクテッドカー」「製造オペレーション(工場)」という2つのIoTユースケースについて、国内で設置されるエッジマイクロデータセンターの数を推定しています。この調査によると、2017年末時点の国内エッジマイクロデータセンターは1,037か所で、主に製造オペレーションにおけるIoTの、試験導入や実証実験のためのエッジ拠点が、その多くを占めていると推定していますが、2021年末になると、この数は4,354か所に増加すると見込んでいます。
背景には、製造オペレーションだけでなく、コネクテッドカーのためのエッジ拠点も増加するためです。コネクテッドカーのエッジ拠点は、都市部や幹線道路における映像/音響コンテンツなどの自動車向け配信サービス(インフォテイメント)に利用されることが多い傾向になると予測しています。
エッジマイクロデータセンターの1か所あたりの設備規模はまだ小さく、平均的にはサーバーラック1本に収納可能な程度にとどまっており、エッジマイクロデータセンターのために新たにサーバールームを建設する必要性は小さく、主に既設のサーバールームやデータセンターの空きスペースに設置すれば済むことが多いと、みています。2021年以降はミッションクリティカルなエッジ処理が増える可能性が高く、電源システムや冷却システムの増強が必要になる場合も増えるという予測もしています。
クラウドサービスもミッションクリティカルな分野での採用が進みつつありますが、製造のオペレーションやコネクテッドカー、さらには自動運転車の普及に伴い。ミッションクリティカルなエッジコンピューティングのニーズも高まり、関連ソリューションやエコシステムの形成も進んでいくでしょう。