スマート農業国内市場規模は2016年104億から2023年度は333億超に。農業データ連携基盤が始動し、農機の完全無人運転などにより市場拡大
矢野経済研究所は2017年10月27日、「スマート農業に関する調査を実施(2017年)」を公表しました。
本調査におけるスマート農業とは、従来からの農業技術と情報通信技術を連携させることで、更なる生産の効率化や農作物の高付加価値化を目指すものであり、農業の生産から販売まで情報通信技術を活用した、高い農業生産性やコスト削減、食や労働の安全等を実現するものであるとしています。
その中で、スマート農業市場とは、
本調査におけるスマート農業市場規模は、国内を対象とし、
①栽培支援ソリューション(農業クラウド、複合環境制御装置、畜産向け生産支援ソリューション)
②販売支援ソリューション
③経営支援ソリューション
④精密農業(GPS ガイダンスシステム、自動操舵装置、車両型ロボットシステム)
⑤農業用ロボット
を対象として事業者売上高ベースで算出しています。
2016 年度のスマート農業の国内市場規模は前年度比 107.2%の 104 億 2,000 万円であり、2017 年度が 120億5,000 万円(前年度比115.6%)、2023 年度には、2016 年度比で約3 倍となる 333 億3,900 万円まで拡大すると予測しています。
出所:矢野経済研究所 2017.10
2016年度のスマート農業国内市場規模の内訳は、栽培支援ソリューションが34億7,200万円、販売支援ソリューションが9億9,600万円、経営支援ソリューションが21億円、精密農業が36億5,600万円、農業用ロボットが1億9,600万円となっており、栽培支援ソリューションが市場を牽引しています。また、2018年度以降は、 2018 年度から農機の無人運転を実現するシステム(精密農業)が登場すると見られ、精密農業が拡大すると予測しており、2023年度のスマート農業国内市場規では、農機の完全無人運転、複数機による作業などができるシステム(精密農業)により市場拡大していくとしています。
スマート農業が普及するためには、農業機械における情報通信プロトコルの共通化と標準化が重要で、様々なデータを共有・活用できる「農業データ連携基盤」が2017年度から立ち上り、スマート農業に関するあらゆるデータの共有化が進展しているとしています。
2018 年度には準天頂衛星システムが 4 機体制になることから、高精度の測位情報が入手可能になり、他の衛星の画像、気象、地形、地質などの多様なデータと組み合わせることで使い道が広がるとしています。
今後、スマート農業参入事業者など、異業種企業が連携することが必要になるし、国内農業が現在抱えている課題を解決し、今後急速に拡大する世界の食市場を日本版スマート農業の力で取込むことができるとしています。