人工知能技術を活用した特許行政事務の 高度化・効率化実証的研究事業
NHKのNews Webの記事「特許庁 出願手続きに人工知能使った新システム導入へ」の記事が注目されており、特許庁のホームページで実際の公募内容を確認してみました。
特許庁は2016年3月15日、『平成28年度「人工知能技術を活用した特許行政事務の高度化・効率化実証的研究事業」の企画提案の公募について』
事業の目的は、
産業財産権を取り巻く環境は、企業活動のグローバル化、国際特許出願や中国等の新興国への出願の増加、国際的な制度調和の進展、産業競争力強化を目的とした中小企業・大学への利用拡大など、様々な観点から多様化・複雑化を続けている。また、それに伴い、特許庁における特許、実用新案、意匠、商標のそれぞれにおける審査業務において、先行調査の資料が増加すると共に、出願、審査請求等の受付等においても、料金減免や早期審査等の制度が複雑化することに伴い、事務処理量が増大している。
こうした環境変化とそれに伴う業務量の増加に適切に対応していくためには、最新の技術を取り入れ、事務の高度化・効率化を図っていくことが必要である。特に、経済のグローバル化・産業財産権の重要性の高まりによるユーザー層の拡大等を鑑みれば、産業財産権を巡る環境変化は、今後、より一層拡大していくと考えられ、現在の技術水準を前提とするのみならず、中長期を見越して将来の技術の進展も含めて検討を進めることが重要である。
現在、IoTによるデータ量の増加とそれによるビッグデータの活用、PCの処理能力の飛躍的な向上等を背景に、人工知能関係技術の急速な発展が見られ、多くの産業分野への応用が期待されている。特許庁には、年間50万件を超える特許、実用新案、意匠、商標が出願されており、このような膨大な案件を処理するため、業務の多くは機械化・システム化されているが、中長期を見越して人工知能技術を活用した更なる業務の効率化を検討することは有用である。
とし、実証的研究事業の企画提案の募集を行っています。後半の黒字のところがポイントかと思われます。
事業の実施方法については、
(1)特許行政事務への人工知能技術の適用可能性の検討
出願等の受付、方式審査、分類付与、実体審査のそれぞれの業務プロセスについて、現在の業務内容を下記の担当課へのヒアリング等を行って把握し、当該業務内容について人工知能技術の適用可能性を検討する。出願等の受付:出願課
方式審査:審査業務課
分類付与:調整課(特許、実用新案)、意匠課(意匠)、商標課(商標)
実体審査:調整課(特許、実用新案)、意匠課(意匠)、商標課(商標)
とし、人工知能技術の適用が可能な分野については、人工知能の適用に当たっての費用対効果や適用に要する期間等を精査していくとしています。
人工知能技術の適用可能性の実証では、
上記で検討した複数の業務プロセスから、人工知能技術の適用の容易性、将来的に適用した場合の費用対効果、実証に要する期間等を考慮し、適用可能性の実証を行う業務プロセスを選定する。実証の対象とする業務プロセスは、庁担当者と相談の上決定する。そして、選定した業務プロセスについて、人工知能技術を適用し、適用可能性の実証を行う。
としています。
公募〆切は、平成28年5月10日(火)で、 審査結果の連絡 平成28年5月中旬で、契約および事業開始予定は平成28年6月上旬からとなっています。