クラウドサービス(IaaS)事業者の淘汰が進むのか?
米調査会社IDCが2014年4月16日に発表した「Major Cloud Service Providers Slash Prices; Threaten Smaller Players’ Existence: IDC Warns」によると、アジア・太平洋地区において、大手クラウド事業者の価格競争の激化などにより、小規模のクラウド事業者にとっては脅威となり、買収やサービス終了などにより淘汰され、市場の統合が進むと予測しています。この動向はアジア・太平洋だけでなく、世界的な動きになっています。
国内でもその動きが一部見られるようになっています。国内ではCTCが2014年3月31日に法人向けオートセルフ型IaaS「CUVIC OnDemand」の新規販売を終了しました(ニュース)。新規販売終了の背景には、AWS(AmazonWebServices)に代表される市場競争が激化し、新たな機能拡張や基盤リソース増強を継続することが難しくなったことをあげています。
2014年3月、4月には、グーグル、AWS、マイクロソフト、そして、国内事業者ではNTTコミュニケーションズが価格の大幅な値下げを発表しました。いずれの事業者もクラウドサービス以外に、検索やEC、ソフトウェア、通信・データセンター事業などのコアビジネスを展開しており、規模の経済(スケールメリット)が有利に働く状況となっています。IaaSのレイヤではコモディティ化が進み競争の激しいレッドオーシャンとなっています。規模の経済で勝負するか、サービスの差別化で優位に立たなければ、市場の淘汰の波に飲み込まれていくでしょう。
米調査会社のガートナーはより踏み込んで数値を示しています。「1 in 4 Cloud Providers Will Be Gone By 2015」によると、米調査のガートナーはクラウドサービス事業者のトップ100の25%は合併吸収や倒産などにより、2015年までに淘汰されるという調査結果を発表しています。ガートナーも指摘しているように、クラウドサービス事業者の永続性をユーザー側が選択する必要性を示しています。
ダイヤモンド・オンラインの記事『「世界のコンピュータは5台に集約」が実現!? 過熱する世界のクラウド競争』に
2006年11月、当時のサン・マイクロシステムズCTOのグレッグ・パパドポラス氏は、「世界に“コンピュータ”は5つあれば足りる」(The World Needs Only Five Computers)という予言をしたように、今回のAWSやグーグルが主導する大幅な値下げよる体力勝負の競争が進めば、規模の経済(スケールメリット)が有利に働き、規模に劣る事業者の淘汰が始まっていくことも否定できない。
と書かせていただきましたが、事業者の集約の動きは進んでいくことになると予想されます。
クラウドサービス事業者の生き残りをかけ、PaaSなどの付加価値や上位レイヤサービスの提供、パートナー連携などによるエコシステムの展開、ビッグデータやオープンデータ、IOTなどの周辺ビジネスへの展開、インダストリードリブンや、グローバル化への対応など、収益を確保しつつ次のビジネスへの展開を急いでいく時期にきているのかもしれません。