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2013年スマート・マシンのまとめ(自動運転車、ウェアラブル、ロボット、リーンハードウェア等)

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クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータに続き、新たなITキーワードとして「スマート・マシン」への注目が集まっています。

ガードナー2013年10月15日に発表した「2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の一つに「スマート・マシン」をあげています。

スマートマシンとは、知能と自律的な学習機能を備え、状況に応じて自らが判断し適応し、人間にこれまでやってきたことまで実行する新しい電子情報機器、電子機械を指しています。

ガートナーでは、新しいハードウエア、アルゴリズム、ネットワーク、コンテンツ(ビッグデータなど)の4つの力が合流し、スマート・マシンが現実のものになったと指摘しています。

ガートナーでは、「スマート・マシン」について、

コンテキスト・アウェアなシステム、インテリジェントなパーソナル・アシスタント、スマート・アドバイザー (IBM Watsonなど)、先進のグローバル産業システム、また初期の自律走行車などの普及により、スマート・マシンの時代は2020年にかけて発展するでしょう。

スマート・マシンの時代は、ITの歴史において最も破壊的なものになるでしょう。ITによる実現が期待されながらも、これまでは「人でなければできず、マシンには不可能」と思われていたさまざまなビジョンの中からも、とうとう現実化されるものが出てきました。

ガートナーは、成功に向けたスマート・マシンへの個人レベルでの投資とコントロール、利用が広がると考えています。企業レベルでのスマート・マシンへの投資も進むでしょう。

スマート・マシンが導く革新の時代においても、コンシューマライゼーションと一元管理環境の対立的な関係は緩和されず、むしろ、企業による購入の最初の波が過ぎたころ、スマート・マシンによるコンシューマライゼーションの流れが一層加速することになるでしょう。

と整理しています。

スマート・マシンについて、代表的なものとして、「Movers(移動する)」「Sages(賢者)」「Doers(行動する)」の3つに分類しています。 

1.「Movers(移動する)」
グーグルなどに代表される自律走行車、自動運転車、セルフドライビングカー

2.「Sages(賢者)」
個人をサポートする秘書的な機能を持つ「仮想パーソナル・アシスタント」や、適切なアドバイスをする「スマート・アドバイザー」など

3.「Doers(行動する)」
人の動きを観察して行動を先読みし支援するロボットなど

スマート・マシン普及の背景には、高性能のCPUやメモリー容量を持つハードウェアであるスマートマシーンがインターネットを通じて相互につながるようになり、膨大なコンピューティングリソースをプールするクラウド上にある膨大なデータを収集・蓄積します。

その膨大なデータであるビッグデータを解析し、アルゴリズムの進化により、有益な知見や判断を導きだすことができるようになっています。

これまでAI(Artificial Intelligence:人口知能)というキーワードが何度か注目されてきましたが、ハードウェアの進化、IOTによるネットワークの相互接続性、クラウドの進展、多階層のディープ・ラーニングのモデルに代表されるようにアルゴリズムの進化、蓄積したビッグデータから確立性の高い最適解を導き出せるようになり、質量ともに大きく進化しています。

ディープ・ラーニングとは、ニューラル・ネットワークの一つで、低レベルの情報から高レベルの情報や最適解を段階的に導き出す新しい機械学習の方式となります。

スマートマシンの進化によって提供する事業者にとっては、コモディティ化した機器がインテリジェンス機能を持つことで付加価値を高めて、利益率の高い新しい商品が開発され、事業者の業績の好転にも寄与することで、経済へのインパクトも大きなものになると考えられます。

利用者にとっては、スマートマシンから日々ルーチンワークからの開放され、よりインテリジェントな活動やビジネスに活動を振り向けられるといったメリットも生まれてくるでしょう。

 

1.実用化を進める自動運転車「Movers(移動する)」

「Movers(移動する)」は、グーグルなどに代表される自律走行車、自動運転車やセルフドライブングカーがあげられます。

自動運転車には、各種センサーがとりつけられることで周囲の状況を検知し、ドライバーの運転を支援する賢い車「スマートカー」へと進化しています。

自動車がインターネットやクラウドとつながることで、車内に様々な情報や音楽や動画などのコンテンツを提供するなどテレマティクスの機能も飛躍的に発展しています。

「スマートカー」のように自動車自体がインテリジェンス化することで、様々な産業が生まれ、運転の利便性向上や安全性確保などが期待されています。

成長市場となるスマートカー市場

・富士キメラ総研は2013年1月17日、パワートレイン系、走行安全系、ボディ系、情報系、HV/EV系の5分野についてのカーエレクトロニクスの分野別世界市場予測を発表していました(リリース記事)。2012年の5分野合計の世界市場は14兆1187億円とし、2022年には、26兆4187億円になると予測しています。

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出所:『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2013』(2013/1/17)

安全運転支援装置・システム。自動運転システムの市場規模は40倍規模に

政府が2013年6月14日に公表した「日本再興戦略」では、安全運転支援装置・システム・自動運転システムの市場規模は。5000億円から2030年には国内の保有台数のほぼすべてに普及するとし、20兆円に規模に市場が拡大すると予想しています。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/rm_jpn.pdf

政府では、安全運転支援システムを活用した自動走行システムの開発・公道実証実験の実施や自動走行システム実用化に向けた制度的・技術的な検討などの検討を進めています。2020年ごろに達成しておくべき社会像として、安全運転支援装置・システムは、国内車両(ストックペース)では20%搭載し、世界市場の3割獲得を目指してています。

・2017年に実用化を進めるグーグルの自動運転車

グーグルでは、2010年ごろからサンフランシスコ市内など交通量の激しい市街地でも無人でテスト走行ができるようにまでなっています。グーグルでは常時100程度の研究開発プロジェクトが進められていますが、自動運転車は現実的なプロジェクトとして位置づけられているようです。

2017年までの実用化を視野に入れるとともに、自社で製造も検討を進めています。グーグルは地図情報を提供するグーグル・マップやストリートビューなどのデータを保有しており、これらの蓄積されたデータと連携することで、より信頼性の高い自動走行につながるでしょう。


グーグルの自立走行車
出所:http://wired.jp/2013/08/26/robo-taxis/

現在のグーグルの自動運転車は、トヨタ自動車のプリウスやレクサスに改造を加えたものです。

自動運転車の車体の屋根の円形ボックスの中には、64個の赤外線レザーから構成される「ライダー(Lidar)」が取り付けられています。これにより、360度人間と人間、人間と横断歩道、人間と信号機、トラックとバン、荷物など別々の対象物として識別しています。

前方と後方にはレーダーが設置され、周辺の障害物の検知や前後車両との走行距離などを計測し、バックミラー付近に装備されたビデオ・カメラの障害物検知とともに前方の信号を識別することができます。そのほか、タイヤのホイールにつけられたセンサーは車体の細かい振動などを検知します。

各種センサーから取り込まれるデータを統合し、3Dマップが車載のコンピュータにリアルタイムで作成され、このデータを解析することで、進路選択や方向転換など自動車運転に必要な判断や決定作業を行っています。

これらの決定作業を支援するのが、グーグルの強みの一つに、自動運転に欠かせないAI(人工知能)で、センサーデータなどから自律的に学習する機械学習が可能なディープラーニングに代表されるニューラル・ネットワーク技術です。AIの開発には、スタンフォード大学でAIの研究をしていたセバスチャン・スラン氏を招聘し、開発を進めています。大規模ニューラル・ネットワーク「Google Brain」がその中核の一つとなっています。

ニューラル・ネットワークが搭載された自動運転車が機械学習により、人間以上の運転能力を持てるようになるのも2020年には現実的なものになるとして期待されています。

・スマホで予約すれば、タクシーが自動で目的地に案内する時代に

グーグルのベンチャーキャピタルでは、スマホ向けのタクシー予約サービスを提供するUber社に2億5,800万ドルを出資しているように、将来的には、自立走行車を商用化し、スマートフォンから予約すれば自動運転が該当の場所まできて、オンデマンドで乗客を目的地に案内する「ロボ・タクシー」の提供も視野にいれています。

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https://www.uber.com/

自動運転車の市場は、自動車メーカーだけでなく、様々な事業者が、自動運転車に関連するビジネスに参入する可能性が考えられます。

・日本の自動車メーカーも自動運転に参入

日本では、日産自動車が2020年までに高級車から大衆車までのすべての車種で自動運転車を商品化することを公表しています。商品化を発表したのは世界で初めてになります。日産自動車の自動運転の取り組みは、主要自動車メーカーの中でも力を入れているといえるでしょう。

日産自動車では、公道を走るのに必要な法規制を整備した国から順次販売する計画です。

日産自動車は2013年8月28日、「日産自動車、自動運転の取り組みを発表」について、ニュースリリースしています。

・日産自動車は、2020年までに革新的な自動運転技術を複数車種に搭載する予定です。

・この計画に沿って、現在、初の自動運転車開発専用のテストコースを日本で建設中です。

・2020年以降、2回のモデルチェンジの中で、幅広いモデルラインナップに同技術を搭載することを目標としています。

・日産はマサチューセッツ工科大学(MIT)、スタンフォード大学、カーネギーメロン大学、オックスフォード大学、東京大学などのトップレベルの大学と共同で研究を実施しています。また、その他にも世界有数の研究機関や新興企業などとの共同研究の拡大も目指しています。

・日産は、80年間に亘り築いた高い技術力やイノベーションを、自動運転車に向けたシャシーやデザインの革新に向けて活用して行きます。

日産自動車では、人材獲得にも力をいれており、現在のリサーチ・ディレクターのマーチン・シーハイスほかAIをはじめとしたソフトウェアに精通するNASA(米国航空宇宙局)の出身者を招聘しています。

シリコンバレーには、日産リサーチセンター・シリコンバレー(NRC-SV)に拠点を起き、共同研究なども進めています。

日産は2013年8月にカリフォルニアで実施した「日産360」のイベントにて自動運転車の試作車を公開しています。

試作車は、日産の電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発しています。車両に、音波や電波、光線を使うセンサー類や5つのカメラを搭載し、地図データと照合し道路の走行レーンや他の車、障害物、信号、標識などの周囲の状況を自動車が感知して内蔵の人工知能で解析することで、ドライバーがハンドルに触れなくても自動で走行し、アクセルやブレーキも自動で操作できます。

日産自動車は、2014年度に、追浜工場(神奈川県)に実際の町並みを模した自動走行車用のテストコースも設置し、安全性などについてさらなる開発を進めていく予定です。

日産自動車は2013年9月26日、「日産自動車、自動運転システムの開発に向け、高度運転支援技術を搭載した車両のナンバーを取得」をリリースし、日本で初めて自動車検査証及びナンバープレートを取得したことを発表しています。2013年度中には、高速道路からはじめ公道での走行実験を開始する予定となっています。

トヨタ自動車でも10月に、センサーで歩行者との距離を検知し、自動ブレーキや自動操舵で衝突回避を支援する技術「歩行者対応プリクラッシュセーフティシステム」の開発を発表しています。従来の歩行者対応自動ブレーキだけでは止まりきれない速度や飛び出し事故にも対応し、2015年以降の市場導入を計画しています(報道発表資料)。

新開発したPCSの作動イメージ
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/13/10/nt13_058.html

トヨタ自動車は2010年半ばには高速道路での自動運転機能を実用化する予定です。

・自動運転車のメリットと課題

自動運転により交通事故の低減など様々なメリットが期待されています。

(メリット:交通事故の低減や渋滞緩和等)

アメリカのシンクタンクのレポートでは、自動運転車が10%まで普及すると、事故と負傷者を50%減らすことができ、90%まで普及すると、交通事故や路上での死傷者が90%削減し、アメリカ経済に毎年4500億ドル(約43兆円)もの経済的コスト削減が実現できるというリポートを出しています。

グーグルによると、2013年5月までに約50万マイル(80万キロ)のテスト走行を実施している中で、事故は2回だけとなっています。1回目はドライバーによる運転、2回目は赤信号で停止中に後続車による追突事故となっています。

自動運転により、交通の流れがスムーズになり、渋滞も緩和されると期待されています。国土交通省は自動運転の導入率が30%で約50%の渋滞削減が見込めると算出しています。

国土交通省は、自動車メーカーと共同で、渋滞防止を狙ったシステムの試験走行を行なっています。また、新ネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2013年2月に大型トラック3台と小型トラック1台による隊列走行デモを実施し、燃料の浪費の回避と二酸化炭素発生を最小限におさえています。燃費の改善や排出ガスの削減につながるなど環境配慮型の社会が期待されています。

自動運転により、飲酒運転や疲労などによる居眠り運転、人的ミス、スピード違反などの減少も期待されます。国土交通省のデータによると、自動車事故の発生は「発見の遅れ」が56%、「判断の誤り」が27%、「操作の誤り」が13%と人的要因が約96%を占めており、人的ミスを解消することによる交通事故の大幅削減が期待されています。

高齢者のドライバーへの支援も大きな課題となっています。警察庁のデータによると、交通事故死亡者の65歳以上の運転者の率が年々増加しています。高齢者が自主的に運転免許を返納するケースも増加しています。公共交通機関の減少が進む地方では、自動運転車の必要性は高まっていくと予想されます。

また、高齢者の方々や免許の無い方などにとっても、自動車運転者をタクシーのように使えることができるなど利用者の裾野は拡がっていくでしょう。

さらに、運転中や駐車の時間を、電話やメール、資料作成などの仕事などの時間の有効活用ができるようになり、生産性の向上につながる可能性もあるでしょう。

(デメリット:法制度の整備など)

現在、公道で運転者がハンドルから完全に手を離す行為を認められていません。あくまでも運転を支援する機能として位置づけられています。トヨタ自動車が首都高速で手放しの自動運転の実演したことが国土交通省や警察庁からも問題されたことが話題となりました(関連記事)。

主要国による自動運転関連の法整備が未整備で、現時点では、商品化できません。米国では、ネバダ州、フロリダ州、ハワイ州、カリフォルニア州などで公道での自動運転車のテスト運転は合法化されています。

同じ車線内で自動と手動の車両が共存する状況を想定した法整備を含めた環境整備をする必要性が指摘されています。日本では国土交通省が、高速道路に限り自動運転を段階的に認める方向で検討中していますが、一般公道で普及のはまだまだ時間を要すことが予想されます。

また、自動車メーカー各社は衝突回避システムなどのぶつからない自動運転自動車の開発を進めていますが、安全性の問題も指摘されています。自動運転によって事故が発生した場合の責任分界や保険制度などの整備も必要となるでしょう。

グーグルの「ライダー」だけでも7万ドルがかかるように、一般消費者が購入できる価格になるまでには、相当の時間を要すことになります。さらに、信号へのセンサー設置など自動運転のためのインフラ整備にも巨額な投資が必要となるでしょう。

日本では、心理的な側面も指摘されています。シスコが発表した自動運転車に関する意識調査「Configuring the Automatic Generation of CAR Reports and Alerts」によると、「自動運転車を利用したいか?」という問いに対して、ブラジルでは95%、中国では70%、米国では60%の人が「イエス」と答えたのに対して、日本人はわずか28%となっています。この意識の差が、今後の普及において、大きな障壁になる可能性があります。

・政府が進める自動運転の未来像と検討課題

国土交通省は2013年8月28日、「第6回オートパイロットシステムに関する検討会」を開催し、「オートパイロットシステムの実現に向けて」中間とりまとめ(案)を公表しました。

自動運転に関しては、高速道路における高速域 渋滞時等の低速域における自動運 転や一般道路における自動運転が利用場面などをイメージしています。また、駐車場、工場等の敷地内における自動運転や専用道路、専用軌道等における
自動運転の利用場面なども想定しています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

国土交通省では、自動車の運転への関与度合が高まった運転支援システムによる走行(下図②、③)と完全自動運転(下図④)を自動運転として定義しています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

国内外の自動運転の取り組みを以下のようにまとめています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

自動車運転がもたらす新たな未来像として、以下の3つをあげています。

①高効率で環境にも優しい道路交通社会
•定時性、速達性や走行効率が飛躍的に向上した道路交通社会の実現等

②安全性が格段に向上した道路交通社会
•ドライバーによる運転と同等以上の極めて安全性が高まった道路交通社会の実現等

③多様な利用者が利便性を享受できる利用環境
•他の交通モードとのシームレス化や高齢者等への幅広い利用環境の実現等

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

これまでにない新たなサービスが展開され、自動運転と結びつくことで、高効率で環境にも優しく、安全な道路交通社会や多様な利用者が新たな利便性を享受できる利用環境が構築されていることが期待されるとしています。

直接的な効果として、渋滞の解消・緩和、交通事故の削減、環境負荷の軽減、高齢者などの移動支援、運転の快適性の向上などがあげられています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

自動運転であるオートパイロットシステムのコンセプト整理を進めるにあたり
①自動車の走行形態、②走行する道路の構造、③自動運転の運用形態
の3つの構成要素を設定し、構成要素ごとに分類・整理しています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

各アプローチにおける具体的な対応として、「車両単体の責任によるアプローチ」では①運転支援の高度化、②完全自動運転が対応し、「第三者の責任分担によるアプローチ」では③追随走行、④管制が対応することから、4つをコンセプト案として設定し、完全自動運転は早期実現は困難とし、実現性の高いものとして①運転支援の高度化を選定しています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

走行範囲は、IC、SA/PAの合流部から公道道路本線に流入し、JCT等を経て高速道路本線からICへ退出する分流部までの範囲を対象としています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

自動運転にあたっては、①同一車線内の連続走行、②車線変更等を伴う走行、③分合流部、渋滞多発箇所等の最適な走行などにおいて検討が必要であるとし、さらに、技術・安全面や精度・社会受容面などにおいて検討課題をあげています。

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http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/06/4.pdf

 

2.アシスタントやアドバイザー機能を持つ「Sages(賢者)」

ガートナーが定義するスマート・マシーンにおいて、ガートナーでの「Sages(賢者)」の「仮想パーソナル・アシスタント」や「スマート・アドバイザー」などの機能を実装するスマートフォンがあげられます。

身近なものでは、iPhoneやiPadには、Siriという音声認識型のパーソナルアシスタント機能が搭載されています。自然言語処理を用いて、音声の質問に答え、リコメンドやWebサービスの検索結果などを案内してくれます。

スマホ利用者などにタイミングの良い時に情報を提供するグーグルの「Google Now」などがあります。

・急成長するウェアラブル端末

アシスタントやアドバイザー機能を持ち人間が身に付けるものでウェアラブル機器に注目が集まっています。

米調査会社のABI Researchは、ウェアラブル機器市場のカテゴリーを

「フィットネス」
「家庭用モニタリング装置(老人介護用など)」
「患者用の遠隔モニタリング装置」
「医療専門家による(オンサイト)ヘルスケア」

の4つに分類しています。

ウェアラブル端末の代表的な機器としては、グーグルが開発をすすめているメガネ型の情報機器である「Google Glass」やソニーモバイルコミュニケーションズが販売する腕時計型端末「SmartWatch」など、自分自身がポケットなどに常に身につけて持ち歩くできるものがあげられます。

Google Glassは、ディスプレイ、Wi-FIやBlutoohtの無線接続、ストレージ、スピーカー、カメラなどが搭載されており、ウェブ検索のほか、写真やビデオの撮影や再生、メッセージ送受信や通話、ビデオチャット、自動翻訳などの機能が搭載されています。

Pristine社は、Google Glassを手術などの医療分野での活用するためのアプリ開発を行い、カルフォルニア大学病院で患者のバイタルサインを見ながら処置を行う医療トライアルが始まっています(関連記事)。

Google Glass in the OR: There’s an app for that, but would you trust it with your spleen?
http://pristine.io/

Google Glassが本格的に普及するには、分野別や利用シーン別のアプリケーションが鍵を握るでしょう。

矢野経済研究所が2013年8月2日に発表した「スマートグラスとスマートウォッチに関する調査結果 2013」の調査データでは、グーグルの「Google Glass」に代表されるスマートグラスの市場は、2013年の出荷台数の45万台に対して、2016年には1,000万台になると予測するなど、急速な市場成長が予想されています。

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http://www.yano.co.jp/press/press.php/001130

そのほかには、韓国サムスン電子が発売するスマートフォンやタブレットと連携する腕時計型の「キャラクシー・ギア」などがあげられます。ソニーも「SmartWatch2」を年内に日本で発売予定です。

キャラクシー・ギアに代表されるスマートウオッチ市場は、2013年は1000万台、2016年には1億台と予測しています。

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http://www.yano.co.jp/press/press.php/001130

日本のベンチャー企業では、テレパシー社が、テレパシー・ワンというスマートグラスを2013年末に発売予定ですが、スマートフォンと通信し、自分が見ている景色などを他人と共有するといったこともできるようになります。

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http://tele-pathy.org/

・米国でのウェアラブル端末の知名度は8割超、日本は3割弱

MM総研は2013年12月25日、「ウェアラブル端末」に関する日米消費者調査の結果を発表しました。調査によると、ウェアラブル端末の知名度は、米国では83.4%に対して、日本では27.9%にとどまっています(ニュースリリース)。

個別の製品の知名度については、「Google Glass」は米国で77.0%で日本で49.2%となっています。ソニーモバイルコミュニケーションズが販売する腕時計型端末「SmartWatch」は米国が70.2%に対して日本は37.1%となっています。

ウェラブル端末の日本の市場規模は2014 年度111 万台、2020 年度に604 万台に拡大すると予想しています、一方、米国は2014年度は595万台、2020年には1517万台に拡大すると予想しています。

ウェラブル端末では、健康管理では、米Fitbitの「Fitbit」や米Nikeの「Nike FuelBand」などが定番となっています。

また、ソニーが米で特許申請をしている「スマートかつら」やマイクロソフトが開発を進める「スマートブラ」、健康状態をモニタする「スマートシャツ」、おむつ替えのタイミングを知らせてくれるスマートおむつ「Tweet Pee」などがあります。

「スマートシャツ」では、利用者の心拍数、呼吸数、歩行数、カロリー消費量などを測定するカナダに本社をおくOMsignal社が開発する「OMsignal Shirt」があります(関連記事)。

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http://www.omsignal.com/

また、米マサチューセッツ州ボストンに拠点を置くベンチャー企業のRest Devices社は、赤ちゃんの呼吸をモニターするベビーウエア「Mimo Baby Monitor」を開発しています。

The organic cotton Mimo body suit
http://mimobaby.com/

「Instabeat」は、水泳のトレーニング中に瞬間心拍数をモニタリングしてデータを保存し、ゴーグルのレンズ上で自分の心拍ゾーンをリアルタイムでの確認や、消費カロリーやラップタイム、回転ターン、呼吸パターンなどの重要なパラメータも測定することができます(関連記事)。

Instabeat
http://www.instabeat.me/

リアルタイムで脳波を測定するヘッドバンドMuseは、最先端の脳波センサーを6個搭載し、デルタ派、シータ派、アルファ派、ベータ派、ガンマ派の5種類の脳はを測定でき、脳波をモニタリングすることでストレスを軽減したり、記憶力や集中力を向上させることができます(関連記事)。

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http://www.interaxon.ca/muse/

子ども向けにの腕時計型のウェアラブル機器「FiLIP」は、GPS、Wi-Fi基地局、携帯電話基地局の3つを使って位置情報を使い、親が子ども位置情報の確認や、テキストメッセージを送ることができます。緊急ボタンも搭載し、緊急ボタンを長押しすることで、登録している5件の連絡先に位置情報がついたメッセージを送信し電話をかけられるようになっています(関連記事)。

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http://www.myfilip.com/

これらのウェラブル端末は、プライバシー問題など様々な課題も想定されますが、様々な分野や利用シーンで活用されるように、普及に拍車がかかることは間違いないでしょう

・人工知能を持ち意思決定を支援

そのほかには、2億ページを超えるテキストデータを解析し質問に対して答えを導き出すIBMが開発した人口知能プログラム「ワトソン」は、今後、意思決定を支援する製品などに採用する計画が進められており、医療分野をはじめとした活用も始まっています。

また、米国では、IBMなどが参加する「SyNAPSE」というプロジェクトが進められています。本プロジェクトでは、猫の脳に相当し、人間の脳の4.5%に相当するシステムを実装しています。

日本では、国立情報学研究所が中心となり人工知能分野を再統合し、2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークし、2021年度に東京大学入試を突破することを目標とした研究活動「ロボットは東大に入れるか。 」が進められています。


http://21robot.org/


http://21robot.org/

こういったウェラブルな機器に様々なアプリやデータが蓄積され、知能と学習能力を持つようになれば、人間の日々の生活からビジネスまで様々な分野で支援し、日々の生活やワークスタイルも大きな変化が生まれるでしょう。

 

3.人の動きを観察して行動を先読みし支援するロボット「Doers(行動する)」

ガートナーの定義する「Doers(行動する)」では、人の動きを観察して行動を先読みし支援するロボットがあげられます。

・ロボティクス事業に力を入れるグーグル

米グーグルは、2013年12月4日に、Boston Dynamics社を買収したことが明らかになっています(関連記事)。

Boston Dynamics社が開発を進める4足ロボット「Big Dogは」の開発をすすめています。Boston Dynamicsは1992年創業のマサチューセッツ州ウォルサムに拠点を置く企業で、MIT(マサチューセッツ工科大学)の当時のマーク・レイバート教授がロボティクスと人工知能(AI)の研究としてスピンアウトし、起業しています。

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http://www.bostondynamics.com/

また、Boston Dynamics社は、米国防高等研究計画局(DARPA)の『Maximum Mobility and Manipulation』(M3)プログラムから資金を得て、最高時速16マイル(約26km)で走行可能な軍用の4足歩行ロボット「WildCat」の開発を進めています(関連記事)。その他、ソニーなどの一般企業にも製品や技術を提供しているといいます。

グーグルはこの半年で東大OBらが設立した日本の災害現場で活躍するヒト型ロボットメーカーSCHAFT社を含む8社のロボット関連の企業を買収しています。

グーグルば半年間で買収したロボティクス関連事業会社

・Boston Dynamics(4足ロボット)
・SCHAFT(人型ロボット)
・Industrial Perception(ロボットアーム)
・Redwood Robotics(ロボットアーム)
・Meka Robotics(ヒト型ロボット)
・Holomni(アクチュエータ)
・Bot & Dolly(ロボットカメラ)
・Autofuss(画像処理)

SCHAFT社は、DARPA(米国防高等研究計画局)が主催した「DARPA Robotics Challenge TRIALS 2013」において、完全優勝しています。

・ロボット事業に力をいれる日本勢

パナソニックは2013年10月24日、病院内の薬剤や検体などの自動搬送ロボットで「ホスピー」を10月から発売開始しています(ニュースリリース)。


パナソニックニュースリリース 2013.10.24

目的地を指定すると、事前に入力された病院建物の地図情報をもとに適切な走行経路を自分で計画・走行します。途中で患者や車椅子などに遭遇しても、障害物検知センサーシステムにより安全に回避することができ、自動ロック扉付きで、IDカードで解錠することができます。

人出が足りない病院も多く、薬剤の検体や搬送に看護師の手をわずらわせる必要がなく、病院運営の効率化が期待されています。

高齢化が進む中、高齢者が家の中で独立した生活を維持できるような支援ロボットへのニーズが高まっていくと考えられます。

NECは11月11日、各種センサを搭載し家庭向けに小型化したロボット「PaPeRo petit(パペロ プティ)」の開発を発表しています(ニュースリリース)。

「PaPeRo petit(パペロ プティ)」

「PaPeRo petit(パペロ プティ)」 ニュースリリースより

また、クラウド連携型ロボットプラットフォームを元にサービスを提供するパートナー制度「PaPeRo パートナープログラム」を提供しています。

パートナー連携によるビジネススキーム
パートナー連携によるビジネススキーム ニュースリリースより

「PaPeRo パートナープログラム」は、「アプリケーションパートナー」と「ビジネスパートナー」、NECの3者が連携し、ロボットとアプリケーションを組み合わせたサービスをエンドユーザに提供するエコシステムのモデルです。

アプリケーションパートナーは、NECが公開するクラウド連携型ロボットプラットフォームのAPIを活用し、アプリケーション開発を行う法人を対象に募集が予定されています。開発されたアプリケーションはビジネスパートナーを通じてサービスとしてエンドユーザへ販売されます。

ビジネスパートナーは、セキュリティ、住宅、医療、公共などさまざまな分野に向けてロボット活用サービスを提供する事業者に対して募集をし、NECと共同でサービスや価格を決定し、エンドユーザにアプリケーションサービスとロボット端末の提供を予定しています。

ロボットを中心としたエコシステムが形成されることにより、ビジネスから、公共分野や生活など、様々な分野での活用が期待され、ビジネススタイルや生活スタイルが大きく変化していく可能性も秘めている考えられます。

ロボットが今後どのように進化し、人々を支援し、共存していくのか、今後の進展が注目されるところです。

 

4.「スマート・マシーン」が及ぼす経済や社会への影響について

コモディティ化した機器がインテリジェンス機能を持ち、スマート・マシーンとして、商品の付加価値を高めていくことができると考えられます。利益率の高い新しい商品が開発され、事業者の業績の好転にも寄与することで、経済的なインパクトも期待されます。

利用者は、スマート・マシーンにより、日々ルーチン・ワークからの開放され、よりインテリジェントな活動やビジネスに活動を振り向けられるようになるでしょう。

スマート・マシーンが及ぼす経済や社会の影響について、少し考えていきたいと思います。

・自動運転者の普及のメリットと課題

たとえば、自動運転者の普及した場合、交通事故の低減や渋滞の緩和などが期待されています。

アメリカのシンクタンクのレポートでは、自動運転車が10%まで普及すると、事故と負傷者を50%減らすことができ、90%まで普及すると、交通事故や路上での死傷者が90%削減し、アメリカ経済に毎年4500億ドル(約43兆円)もの経済的コスト削減が実現できるというリポートを出しています。

自動運転により、飲酒運転や疲労などによる居眠り運転、人的ミス、スピード違反などの減少も期待されます。また、高齢者の方々や免許の無い方などにとっても、自動車運転者をタクシーのように使えることができるといったメリットもあるでしょう。

自動運転により、交通の流れがスムーズになり、渋滞も緩和されると考えられます。国土交通省は、自動車メーカーと共同で、渋滞防止を狙ったシステムの試験走行を行なっています。燃費の改善や排出ガスの削減につながるなど環境配慮型の社会が期待されます。

一方で、検討すべき課題も山積しています。現在、公道で運転者がハンドルから完全に手を離す行為を認められていません。あくまでも運転を支援する機能として位置づけられています。

主要国による自動運転関連の法整備が未整備で、現時点では、商品化することができません。日本では国土交通省が、高速道路に限り自動運転を段階的に認める方向で検討中していますが、一般公道で普及のはまだまだ時間がかかるでしょう。

同じ車線内で自動と手動の車両が共存する状況を想定した法整備を含めた環境整備をする必要が想定されます。

また、安全性の問題も指摘されており、自動運転によって事故が発生した場合の責任分界や保険制度などの整備も必要となってくるでしょう。

・自分自身で判断して行動できない人が増える?

スマート・マシーンへの依存度が高まり、スマート・マシーンのアシスタントや、行動支援、移動支援などがなければ、重要な場面で、自らの判断で行動できない人が増えていく可能性も否定できません。また、自動運転に頼りすぎて、運動不足が深刻化するかもしれません。

・犯罪増加の懸念

犯罪を助長するようなスマートマシーンの登場が予想され、治安が悪化するといった可能性も否定できません。

・リーンハードウェアによるマシン革命

海外では、リーン・スタートアップにハードウェアの要素を組み合わせた「リーンハードウェア」が産業そのものを大きく変えるとして、注目が集まっています(関連記事)。

「リーンハードウェア」のステップは以下のとおりとなっています。

1、コンセプト
2、最低限の機能を持ったプロトタイプの作成
3、完全な機能を持ったプロトタイプの製作
4、工場での製造のための設計
5、最初の工場での製作
6、小売り

要注目!2025年までの「ハードウェア革命」のトレンド予測」の記事では、2025年までのハードウェアイノベーションの流れが紹介されてます。

・現在ハードウェア革命は、アーリーアダプター(初期少数採用者)の半分くらいのところ
・2014年には、洗練されたハードウェアプロダクトのプロトタイプを一晩で作れるようになる
・2016年あたりには、ハードウェアのオンデマンド製造が可能になる
・2019年あたりには、販売後のフォロー的な営業活動よりも、事前の営業活動の方が重要となる(ハードウェアにおける予約販売が普通になる)。そのための予約販売プラットフォームも充実している
・2020年、インターネット接続されたデバイスは世界中で800億以上となり、これらのデバイスの50%以上が、新しいハードウェア企業の製品となる
・2025年には、アップルのような革新的なハードウェアメーカーが100以上存在する

これらのハードウェアに、インテリジェンス機能が実装され、スマート・マシン化していけば大きな産業変革につながっていくでしょう。

・機械の自動化で人間の仕事の50%は消滅する!?

自動運転車が普及すれば、トラックやタクシー、電車などを運転する方の雇用機会が減少する可能性が考えられます。また、高度な知識が要求される医師や弁護士などの雇用にも影響するかもしれません。

金融分野ではトレーダー、IT分野では現在注目が集まっているビッグデータを活用して高度な分析を行うデータサイエンティストなどの雇用にも変化が生じる可能性があります。

スマート・マシーンの登場によって、人間の本来の業務が置き換えられ、失業率が高まってしまうという可能性も否定できません。

調査会社のガートナーが2013年10月に発表した調査では、2020年までにスマート・マシーンにより

49%が雇用の影響を受けないとし、仕事が拡大するのが34%、失業するのが17%としています。

スマートマシン -10年後、あなたのライバルか、部下か」の記事では、ガートナーは、

企画やマーケティング、ファイナンスといった職種もスマートマシンに置き換わる対象になるだろう

と指摘しています。

「スマート・マシーン」が及ぼす経済や社会への影響についてのブログでご紹介をさせていただきましたが、

自動運転車が普及すれば、トラックやタクシー、電車などを運転する方の雇用機会が減少する可能性を指摘させていただきました。

また、高度な知識が要求される医師や弁護士などの雇用や、金融分野ではトレーダー、IT分野では現在注目が集まっているビッグデータを活用して高度な分析を行うデータサイエンティストなどの雇用にも変化が生じる可能性があると考えています。

調査会社のダビンチインスティティートでは、2030年に

世界中の全雇用の50%、20億人分の仕事が機械化でなくなる

と指摘しています。

この機械化による雇用減少は、マイクログリッド、自動運転、3Dプリンター、ロボットの4つのテクノロジーの進化をあげています(参考文献:日経ビジネス 職場&働き方未来予測 2014)。

マイクログリッドでは、マイクログリッド技術による分散型の電力網の発展による大規模発電所や石油科学向上などのメンテナンス業務の減少があげられます。

3Dプリンターでは、多くの人が衣服や靴など自分で作るようになり、製造業や雇用が減少すると指摘しています。

そして、ロボットでは、ロボットの高性能化により、

Ⅰゾーン:ロボットによる代替で無人化が加速する分野
Ⅱゾーン:コンピュータの進展で省人化が進む分野
Ⅲゾーン:自動化の環境が整いそうな分野

などのゾーンで、建設労働者、魚師、農家、消防官などの機械化で肩代わりできる仕事の多くが減ると指摘しています。

記事の中では、この流れを第三の失業の波と述べられています。

第一の失業の波は、18~19世紀の産業革命、第二の失業の波は1960年代以降のオートメーションの波、そして、第三の波はコンピュータや人口知能の進化による失業です。

ロボットをはじめとしたスマート・マシーンの進展は、巨大な産業を生み出すとともに、社内やサービスの自動化が進むことで、ロボットにできない業務に人的資源を集中することで、他社との差別化を図っていくことが、自社のコアビジネスへとつながっていくことになるでしょう。

・今後、「スマート・マシーン」がもたらす未来の社会像とは?

スマート・マシーンの普及の契機は、2020年で東京五輪がひとつの節目になると考えています。2020年までに、自動運転車や観光地を案内するロボットなどが登場し、生活などで便利さを感じその恩恵を受けることができるようになり、ビジネスや生活の中に次第に浸透していきはじめるのではないかと考えています。

もう一つの節目が、2045年前後と考えています。ムーアの法則では「半導体チップの集積度は、約18ヵ月で2倍になる」と指摘していますが、これを元に計算すると、2045年にはコンピューターの性能は現在の約264万倍の性能になり、コンピューターの能力が全人類の知能を上回るという可能性があります。

スマート・マシーン自身が、自分自身でプログラムを改良し、意識を持ったスマート・マシーンの登場が予想され、人類の歴史にとっても大きな転換期になる可能性があります。

その世界があと32年後に来る可能性があります。非常に難しいテーマですが、スマート・マシーンにはできないことを、人間としてどういうことができるのか、していくべきなのか、今から考え行動していくことが大切かもしれません。

 

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