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Next Pubishing のPOD(プリント・オン・デマンド)で出版することのメリットとデメリット

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2012年9月28日に拙著『オープンクラウド入門』インプレスR&D社の次世代書籍メソッド「Next Pubishing」を通じてAmazonの予約販売を開始、10月9日より発刊させていただきました。

2012年9月28日にはインプレスR&D社のニュースリリースでは、「Next Publishing」のCloudシリーズについて、以下の説明がされています。

「Next Publishing」では、EPUB3による電子出版とAmazon.co.jp や三省堂書店などオンライン書店や一般書店が手がけるプリント・オン・デマンド(POD)プログラムを活用することで、流通の問題を解決する無在庫出版を行い、優れた著者による専門性の高い書籍をタイムリーに、数多く出版することを目指しています。

クラウドに関する書籍はすでに出版されていますが、オープンソース技術情報の不足、セキュリティーなど特定の視点によるクラウド解説の不足など、十分情報提供できているとは言えない状況です。このCloudシリーズでは、クラウドの普及・発展に貢献されている多数の方々の執筆により、現場のニーズが高く、よりきめ細かい内容の書籍を 2012年度中に約10冊刊行する計画です。

※以下の文章は、『オープンクラウド入門』の冒頭文から一部引用しています。

今回の出版にあたって、

①クラウドに関する専門性の高い書籍を世の中に流通させる
②日々進化するクラウドの情報を恒常的にアップデートできる書籍を流通させる
③クラウドのさまざまなテーマの書籍をシリーズ化し流通させる

という3つの目標を掲げ、関係者の方々と取り組んでいきたいと考えています。

社会が成熟し、企業や消費者のニーズの多様化により、ビジネスの現場では、より高い専門性が求められるようになっています。IT業界では、特にクラウド関連技術の進化とそれにともなうビジネスモデルの変化が著しく、時代のスピードに対応した専門性の高い人材の育成が喫緊の課題となっており、自ら学びたい人を支援する本の役割は益々大きくなっていると考えています。

しかしながら、一般書店の売り場が減少し、大量部数を印刷する従来の方法では、クラウドを始めとした多種多様な専門書を書店に流通させることが難しくなっている。

「Next Publishing」のPODのメリット

「Next Publishing」の場合は、この専門書の流通を支援する重要な役割を担っていると考えています。EPUB3の電子書籍と印刷書籍の2種類で購入することができ、印刷書籍を購入したい場合は、アマゾンで従来の書籍を購入すると同じように注文する形になり、注文後に印刷し発送するPOD(プリント・オン・デマンド)を採用した無在庫販売となります。

そのため、書籍の品切れはなく、継続的に購入することができます。さらに、入稿データは適宜入れ替えができるため、増刷にならなくても適宜アップデートしやすく、読者にとっても内容の新しい印刷された書籍を手にとることができるといったメリットもあります。クラウドのような進化の激しい分野では、一般の書店よりも、「Next Publishing」のような販売形態が適していると言えるのかもしれません。

今回、上梓する「オープンクラウド入門」は、タイトル名には入門書とありますが、オープンクラウド関連の技術動向やビジネス動向に少し踏み込んだ内容で、IT業界の関係者にとっては入門書の位置づけとなるものの、一般的にはやや難易度の高い専門書となっています。これまで、オープンクラウド関連の講演やブログからの反響は大きかったことから、「Next Publishing」の特性を生かし、あえて専門性の高い内容を盛り込んだ書籍に仕上げています。

一般の書店に並ぶ書籍の場合は、編集会議をかけたりといったように、かなり多くのプロセスがあり、実際に書店に並べるまでのハードルはかなりのものがありますが、「Next Publishing」の場合は、書店に並ぶ書籍と比べると比較的容易に出版することができるでしょう。

どれくらいの販売実績?

実際に、いろんな方から、今回の「Next Publishing」の販売を通じて、どれくらいの販売されているかという質問を受けます。

一般的なIT関連書籍の場合、初版はおおむね3,000刷前後が一般的だと考えられます。最初の数ヶ月は書店でも目立つところに置かれる場合も多いかと思いますが、あまり売れる本でなければあまり目立たないところに置かれるのが多いかと考えられます。実際に3,000刷用意しても、実際に購入されるのはそれよりもだいぶ少ないと考えられます。

今回の「Next Publishing」のPODの場合、この1ヶ月の販売実績、そして、「Next Publishing」の継続的な内容の更新ができることを考えると、ロングテールで一般的な3,000部を上回る可能性があるのではないかと期待できるレベルにきていると考えており、専門性の高い書籍の販売としては十分なものと考えています。

「Next Publishing」のデメリットは?

もちろん、デメリットはあります。

やはり、一番大きなのは全国の書店に並ばないことです(「オープンクラウド入門」は紀伊国屋本店と新宿南店には置いていただいています)。『「クラウド・ビジネス」入門』を上梓した際には、都内の書店を10件ぐらい回り、書店に平積みになっているのを見て感動した記憶があります。

ソーシャルメディアの力が重要に

書店に並ばないため、書店に来られた人が手にとってみて、購入するという機会はなくなります。そのため、オンライン上でのツイッターやフェイスブック、ブログなどを通じてのバイラルマーケティングを展開させていくことが重要になります。プラスに考えれば、書籍の内容そのものと、個人の情報発信力が大きく評価され、それが成果に結びつくため可視化しやすいといえるでしょう。

書店の書籍と「Next Publishing」の二つの挑戦

書店に並ぶ書籍を書くというのは全く否定はしていません。非常に大きな挑戦であり、引き続き書店に並べられる書籍を書くことは自分にとっても大きな目標であり、引き続き挑戦していきたいと考えています。書籍に並ぶ本は、全国の書店に並べることができるような広く認知されるテーマで取り組んでいきたいと思っています。

一方、「Next Publishing」の場合は、今回の「オープンクラウド入門」のように少し専門性の高いもので、ニッチなものに挑戦していきたいと考えています。専門書を書くことは、自分自身にとっても勉強することが多く、自分自身の専門性を高めていくためにも有効かと考えています。


オープンクラウド入門 CloudStack、OpenStack、OpenFlow、激化するクラウドの覇権争い (Next Publishing(Cloudシリーズ))

 

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担当キュレーター「わんとぴ
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