「オープンクラウド」とは何か?
2012年4月19日に開催された「Citrix Cloud Vision 2012」 で「2012年オープンクラウドの動向」というテーマでお話をさせていただきました。
本講演では、「オープンクラウド」をどのような位置づけでお話をしのか、少しご紹介をしたいと思います。
2009年3月30日に「オープンクラウド・マニフェスト(The Open Cloud Manifesto) 」がWebで公開され、顧客が持つ4つの目標と、クラウドプロバイダが順守すべき6つの原則が示されました。発表後、数十企業が参加を支持しました。
顧客が持つ4つの目標
- 選択性 - 組織は、様々なベンダの中から自由に選択できることとする。
- 柔軟性 - 組織は、異なるクラウドを使用している場合でも協力が可能であることとする。
- スピードとアジリティ - 組織は、官民のクラウドを統合するソリューションを容易に作成できることとする。
- スキル - 組織は、その能力を特定のクラウドに依存しないユーザにアクセスできることとする。
クラウドプロバイダが順守すべき6つの基本原則
- サービスにあたってはオープンスタンダードに準拠する
- 市場での地位を利用し独自プラットフォームに縛り付けない
- 標準規格を使用する
- 新たな規格の作成や変更には注意を払う
- 顧客ニーズを重視する
- クラウドコンピューティング団体やコミュニティは協調を図る
オープンクラウドを実現するための技術
オープンクラウドを実現する技術の一つとして、オープンソースのクラウド基盤ソフトウエアがあげられます。CMS(クラウドマネジメントシステム)とも呼ばれています。代表的なソフトウエアにOpenStackやCloudStackがあげられます。主な機能には、仮想マシン管理やストレージ管理、アカウント/セキュリティ管理などがあげられます。
オープンクラウドを構成するクラウド基盤ソフトウエア/サービス群
オープンクラウドを実現するのは、IaaSだけでなく、Cloud Foundryに代表されるオープンソースのPaaS基盤であるOpen PaaS、そして、ネットワークレイヤでは、ネットワークの構成や機能の設定をソフトウェアによってプログラマブルに行える仕組みであるSDN(Software Defined Networking)を実現するOpen Flowなどがあげられます。
国内で、「オープンクラウド」を使う団体や活動などをご紹介しましょう。
オープンソースを用いるクラウド・コンピューティング技術の研究・情報交換を行うコミュニティ
オープンソースベースの各クラウド基盤技術の実証実験を通じて相互接続による連携、運用ノウハウを周知し、クラウド基盤の一般化と利活用の促進を図る事を目的
オープン・スタンダード・クラウド・アソシエーション(OSCA)
クラウドインフラ構築で協業、オープンで標準化されたクラウド環境の普及を促進
最先端のIT環境モデルであるクラウドコンピューティングをオープン化へと導くために、新たなメンバーを迎え、「オープンガバメントクラウド・コンソーシアム」(以下OGC)として、再結成。
提言の骨子は、「クラウドサービスの標準化を実現するOpenAPIの整備」 等
海外でも「Open Cloud」を使う団体や活動を同様にご紹介します。
オープンなクラウドコンピューティング環境の要件をまとめた法的枠組みを提供し、広く採用を促すことを目的に活動
Open Cloud Consortium (OCC)
運営母体の異なるクラウド・サービスをシームレスに結び付ける標準インタフェースの確立
以上のように、「オープンクラウド(Open Cloud)」に対する定義はまだ曖昧ですが、関連する団体や活動が活発化しており、クラウドに対するオープン化のニーズは確実に高まっていることが伺えます。
2012年は「オープンクラウド(Open Cloud)」というキーワードが頻繁に登場し、議論される年となるのかもしれません。
「クラウド・ビジネス」入門 電子書籍版刊行
※担当キュレーター「わんとぴ」
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