オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

CloudStackとOpenStackのこれから

»

AWS User Group Japan」や「Japan Windows Azure User Group」に代表されるように、クラウドビジネスで成功している事業者は、開発コミュニティを重視し、独自のクラウドエコシステムを形成しています。

 一方、日本OpenStackユーザ会や、日本CloudStackユーザ会などオープンクラウド系のユーザ会も盛り上がりを見せており、コミュニティ主導によるオープンクラウドのエコシステムも今後本格化していくと予想されます。

Citrix Systems, Incは2012年4月3日、「Citrix Unveils Next Phase of CloudStack Strategy ~CloudStack Submitted as the First Cloud Platform in The Apache Software Foundation」を発表し、CloudStack開発プロジェクトをApache Software Foundationに移行する計画を発表し、ライセンスモデルはこれまでのGPL v3からApache 2.0に移行することを明らかにしています(関連記事)。

CloudStack は Apache へと走るが、OpenStack に問題は生じないのか?」という記事には、

Cloudstack と Openstack の双方ともが、プログラマの支持を求めて競い合い、プロプライエタリ・クラウド・スタックにおける、VMWare と Microsoft の競合に似た関係になりつつある。 そして、さらに、ブリック・クラウドのリーダーである Amazon AWS の API と互換性を持つ、Eucalyptus のスタックとも戦わなければならない。(中略)現時点では、多くのオープンソース・クラウド・デベロッパーたちが、OpenStack と CloudStack の双方を見ながら、賭けには走らずヘッジをかけているように思える。

とあるように、CloudStackとOpenStackとの関係性が指摘されており、利用者(開発者)側も双方のどちらか見極めがつかず、判断をしかねている状況にあると考えられます。

シトリックスがCloudStackをApacheに寄贈。「Apache CloudStack Project」に」の記事には、

CloudStackをApache Software Foundationというオープンソースの強力な団体に寄贈し、同社がプラチナスポンサーとなることで、同社がOpenStackあるいはProject Olympusへのコミットを後退させ、CloudStackをクラウド基盤の柱として明確な位置づけに出たと推測する記事が海外で見受けられます。

とあるように、CloudStackを事業の柱にしていくことを示しているように見えます。一方、OpenStackへのサポートをこれまでと同様とすると発表していますが、どこまで対応を続けていくのか、そして、Rackspace オープンソース・モデルにとって大きな脅威となるのか、微妙なかじ取りも必要となってくるでしょう。

CloudStack、Apacheプロジェクト化の背景」の記事には、Go DaddyのCTO、ウェイン・セイヤー(Wayne Thayer)氏の日本語訳が掲載されていますので、一部抜粋します。

多数の非常に成功したプロジェクトできわめて有効だったApache Software Foundationの能力主義的なガバナンスモデルのもとで、CloudStackはオープンソースからオープンコミュニティへの重要な一歩を踏み出そうとしている。これで、CloudStackのコミュニティプロセスに関わりたいと思う企業はどこでも他の人たちと同様に、自由に参加できる。

とあるように、CloudStackのApache移行によるオープンコミュニティを歓迎するコメントをしています。

今後、グローバル市場におけるパブリッククラウド(主にIaaS)の覇権は、AWSを中心とする垂直統合型のエコシステム、そして、OpenStackとCloudStackのオープンコミュニティによるエコシステムと、大きく二分されていくのではないかと予想されます。

オープンコミュニティにおけるOpenStackとCloudStackが、双方切磋琢磨しながらコミュニティを盛り上げ、オープンクラウド全体を盛り上げていくことになるのか。それとも、どちらかに淘汰されていくようになるのか。CloudStackのApache移行によるオープンコミュニティへの動きは、今後のパブリッククラウド業界のコミュニティやエコシステムの行方を占う上でも、重要な位置づけとなるのかもしれません。

 

image 「クラウド・ビジネス」入門 電子書籍版刊行

※担当キュレーター「わんとぴ

OneTopi「クラウド」@cloud_1topi(クラウド)   OneTopi「情報通信政策」@ict_1topi(情報通信政策) OneTopi「電子書籍」@ebook_1topi(電子書籍)

OneTopi「モバイル」@mobile_1topi(モバイル) OneTopi「SmartTV」@smarttv_1topi(スマートテレビ)

OneTopi「地域活性化」@localict_1tp(地域活性化)OneTopi「スマートシティ」@smartcity_1tp(スマートシティ)

Comment(0)