2011年「クラウド」を5つの視点で振り返る
2011年は、私自身、政府案件の担当から、クラウドサービスを担当する部署への異動となり、クラウドに対する見方も大きく多様化した年でもありました。
2011年のクラウドの動きを自分なりに振り返ってみたいと思います。
1.震災後のクラウドへの評価の変化
2.社会サービス化するクラウド
3.モバイルクラウド元年
4.オープンクラウドの潮流
5.クラウドによるエコシステム形成の機運
==
1.震災後のクラウドへの評価の変化
震災直後、被災地の自治体などのアクセスが集中し、自治体などの住民データなどが津波で流されるなどの被害が出ました。その際に、Webアクセスへの負荷分散や迅速な情報提供にあたってのクラウドが活用されました。また、企業の事業継続の観点からもクラウドへの期待は高まっています。クラウド事業者にも北海道など地方に郊外型データセンターを開設する動きも顕著だった年でした。
2.社会サービス化するクラウド
クラウドの潮流は、企業がクラウドを単に活動するという流れから、コミュニティクラウドへと進化しつつあります。自治体や医療、教育分野においてもクラウドの活用が一歩進んだ年でもありました。また、スマートシティやスマートグリッドに言われるように、街づくりとクラウドが連携するような流れも生まれました。ビックデータというように膨大なデータをクラウド側で処理分析をするといったテーマも今年は特に注目された年でした。2011年は、クラウドが社会サービスや社会インフラとしての認知され始めた年だったといえるでしょう。
3.モバイルクラウド元年
これまで、スマートフォンやタブレッドがクラウドを利用するにあたって重要なデバイスになる、つまり、モバイルクラウドの時代がいずれ来るという専門家の指摘もありました。2011年はiPhone4SやiPad2、そしてAndroid端末などのスマートフォンやタブレット端末が充実し、さらにはWiMAXやLTE対応のスマートフォンなどが登場するなど、モバイルブロードバンド化もモバイルクラウドの流れを後押ししたといえるでしょう。
4.オープンクラウドの潮流
2011年は、利用ユーザがクラウド事業者によるベンダロックイン、いわゆるクラウドロックインを嫌う傾向が顕著となった年でもありました。ユーザがより主体的に事業者やサービスを選択できるオープンなクラウド基盤や環境を整備しようという流れも進みました。その代表的なのが、OpenStackやCloudStackに代表されるIaaSのオープンソースのクラウド基盤ソフトウエアです。また、IaaSだけでなく、Cloud FoundryのようにPaaSレイヤや、OpenFlowなどのネットワークのレイヤーにも注目が集まった年でもありました。さらには、FacebookのOpen Computer Projectにあるようにデータセンターのオープンソース化も進んだ年でもありました。2012年はレイヤー横断的なオープンクラウドの流れが進み、ユーザはより使いやすいクラウド環境を享受できるようになるでしょう。
5.クラウドによるエコシステムの形成
今年は、クラウドのエコシステムが顕著になった年でした。たとえば、パブリッククラウドで圧倒的なシェアを確保するAmazonが提供するEC2などのクラウド上に様々な事業者がサービスを提供するエコシステムが形成されました。一方で、エコシステムを形成して、Amazonに対抗しようという機運も高まった年ともいえるでしょう。
もう少し視点を広くしてみてみると、マイクロソフトやセールスフォース・ドットコムがクラウド事業においてトヨタ自動車と提携したように、業種・業界を超えたクラウド事業のエコシステムを形成していくことも重要となってくるでしょう。
2012年は、さらにクラウドエコシステムの重要性が増していくことでしょう。
2011年は、クラウドコンピューティングというキーワードがしっかりと市場に根付き、様々なサービス提供や新しい技術やトレンド、利活用された年でした。2012年は、さらにクラウドへの評価と期待が高まる年になるのかもしれません。
「クラウド・ビジネス」入門
電子書籍版刊行記念 定価700円→350円
※担当キュレーター「わんとぴ」
@cloud_1topi(クラウド) @ict_1topi(情報通信政策) @ebook_1topi(電子書籍)
@mobile_1topi(モバイル) @smarttv_1topi(スマートテレビ)
@localict_1tp(地域活性化)@smartcity_1tp(スマートシティ)