『松江データセンターパーク』と『コンテナ型データセンター「IZmo」』の今とこれから
2011年10月28日と29日、IIJが主催する「ブロガー記者募集!松江データセンターパーク見学ツアー」に、ブロガーとして参加してきました。ブロガー参加者は、以下の7名の皆さん+私です。IIJさんからは、マーケティング本部 GIOマーケティング部長の小川晋平さんほか3名の方に同行いただきました。
- 首藤 一幸 http://www.shudo.net/diary/
- あきみち http://www.geekpage.jp/
- syuu http://d.hatena.ne.jp/syuu1228/
- halfrack http://d.hatena.ne.jp/halfrack/
- popowa http://blog.popowa.com/
- 成迫 剛志 http://blogs.itmedia.co.jp/narisako/
- tanaka_733 http://techblog.hilife-jp.info/
バスをチャーターしていただき、出雲空港から約40分かけて目的地の松江データセンターパークに向かいました。
Ruby発祥の地、島根県松江市に位置する「松江データセンターパーク」
松江データセンターパークの外観写真です。松江市の中心街からそれほど遠くなく、地盤が強く、郊外にもかかわらず回線は地中に埋められ、クラウド時代の郊外型データセンターの立地としては、非常に適している環境という印象です。
島根県松江市は、プログラミング言語「Ruby」を開発したまつもと ゆきひろ氏が在住し、ソフト産業の集積地としても注目を集めています。10月28日には「しまねOSS協議会」が「松江オープンソース活用ビジネスプランコンテスト2012」の応募を開始し、オープンソースソフトウエア(OSS)による地域振興を図る「Ruby City Matsue」プロジェクトの推進をしています。
「データセンター」から機能モジュールが集積する「データセンターパーク」へ
早速、センターの右側に位置する管理棟に入り、センター長から、松江データセンターパーク解説の背景や特徴などについて1時間ほど、お話をお伺いしました。
松江データセンターパークは、IT機器、電気設備、空調設備など、各種機能モジュールが集積しており、必要に応じて増減、融合ができます。モジュール型(コンテナ型)データセンターの”IZmo”、外気冷却による低消費電力を実現したモジュール型空調システム、最短経路モジュール間接続”2次元元MISP”、そしてIIJのバックボーンから構成されています。
データセンターパークは、管理棟、電気設備棟、モジュール設置エリアなどのエリアに分かれています。周囲の自然環境と調和を図りながら、必要なセキュリティや堅牢性は確保されています。
データセンターのスペック
ファシリティ
・敷地⾯積約8,000㎡
・ITモジュール数最⼤24台
・ラック数最⼤216ラック
・管理棟、電気設備棟(耐⽕構造)電気設備
・受電容量2,000kVA
・中国電⼒より異変電所からの現用/予備2系統受電
・非常用発電機24時間連続運転UPS N+1構成消化設備
・火災予兆検知システム、N2ガス消⽕設備セキュリティ
・敷地進入検知、監視カメラ、⼊退室管理を完備
・24時間常駐員による監視各種認証対応
・ISMS(取得予定)
・IS14001(取得予定)
・FISC準拠
IIJ社提供
従来型(首都圏)データセンターと比較する
首都圏などの従来型のデータセンターと比較した場合、ファシリティーコストは首都圏の建築物(15-20億円/MW)と比べると、(5-10億円/MW)と低コストでの建設が可能となります。また、建設期間や増設においても短期期間での対応ができるなどなどのメリットもあげられます。
首都圏のデータセンターがハウジングやプライベートクラウドなどの構築が中心なのに対して、郊外型のクラウド時代のデータセンターは、ホスティングサービスやクラウドサービスが中心となります。
IIJ では、「IIJ GIO(IIJ⾃社クラウドサービス) 」を提供しており、松江データセンターパークを利用することで、データセンターファシリティのコストを大幅に削減でき、コスト競争力を高め、クラウド市場における競争優位と環境対策の強化が可能となります。
今後、クラウドコンピューティングの市場がさらなる拡大が予想される中で、低コストでかつモジュール型で柔軟な変更が可能であり、価格競争力のクラウドサービス提供が可能な郊外型のデータセンターの必要性が高まっていくことが予想されます。
モジュール(コンテナ)型データセンター”IZmo”とは
松江データセンターパークの説明後に、実際にモジュール設置エリアの現場を見学させていただきました。写真がIIJのモジュール(コンテナ)型データセンターです。
実際のデータセンターの中の写真です。傾斜ラックによる省スペースの設計となっています。一つのコンテナには、9ラックでおおよそ300サーバが入る計算となります。
IIJでは、一般的なデータセンターと同等の内部スペースを確保する”IZmo W”と上の写真のように傾斜ラックによる省スペース設計で(特殊車両通行許可申請不要の)大型トラック輸送が可能な”IZmo S”の2種類を提供しています。今後、ISO規格のコンテナサイズに対応した”IZmo ISO”も現在計画中とのことです。
松江データセンターパークでは、現在、”IZmo S”が1台、”IZmo W”が5台となっています。
以下は、”IZmo W”が5台並んだ写真です。
5台のコンテナを離れてみた写真です。ブロガーの皆さんも熱心に話を聞いています。写真のブロガーの皆さんが立っている足元のところに、今後、コンテナが増設される計画です。
実際にコンテナとクレーンで運ぶ様子です。松江データセンターパーク内は、トレーラーのような大型車でも出入りが可能な道路幅を確保しています。
なお、IIJのコンテナ型データセンターの詳細ついては、特設サイトから確認できます。
第2世代のデータセンターパーク、そして今後の展開は?
そして、気になるのは第2世代となる今後の展開です。IIJでは、クラウドコンピューティングの普及に伴い、更なるモジュール化の推進やIT機器とITモジュールの交代の統合などによりクラウドインフラとしての最適化を目指しています。
IIJでは、松江データセンターパークのみならず、今後同様のデータセンターパーク展開も計画しており、複数に分散化されたデータセンターパークを仮想化されたネットワークやサーバと連動することで、クラウドインフラとしての最適化と信頼性の向上につなげていくことが期待されます。
また、IIJ GIO では、米国のほか、中国、アジア、ヨーロッパなどへの海外におけるサービス展開も計画しているとのことです。クラウドは国内外シームレスが加速することが予想され中で、松江データセンターパークのような設計は、海外市場においても競争優位に働く可能性が十分に考えられます。
クラウド時代のデータセンターの方向感
グーグルやマイクロソフト、アマゾン、そしてアップルやフェイスブックなど、クラウドサービスやソーシャルサービスなどを提供し、市場へのシェアを高めています。サービスの差別化とユーザへの浸透はもちろんですが、多くの事業者は、外気冷却を活用した郊外型(コンテナ)データセンタを建設し、規模の経済(スケールメリット)を生かし、市場への優位性を確保しています。
クラウド事業者の多くは、台湾や韓国などアジア各国においてアジア全体へのサービス提供を視野に入れたデータセンターの建設が進んでいます。残念ながら日本国内に設置する事例が極めて少ない状況となっています。
クラウドコンピューティングの特徴は、場所を意識せずコンピューターリソースにアクセスできることが大きな特徴の一つとなっています。首都圏でのデータセンターの需要は一定数見込めるものの、今後のクラウドコンピューティング市場成長、ビッグデータによる爆発的に増大するデータ量、そして、震災時におけるBCPなどへの対応強化の必要性が指摘されている昨今、「松江データセンターパーク」のようなモデルは、今後クラウド事業者にとって、一つのモデルとなっていくのではないかと、客観的な視点で考えてみて感じているところです。
※担当キュレーター「わんとぴ」
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