クラウド・エコノミーの時代
幸いにも10月と11月は、合計10件と、非常に多くの講演依頼を受けました。それぞれテーマ設定や対象が異なるため、準備はそれなりに大変だったのですが、自分自身も非常に勉強をさせていただくことができました。事務局の関係者の皆様には、感謝申し上げます。
最近、多くの依頼を受けるテーマの中の一つに、クラウドと産業、クラウドと政策、そして、クラウドと国際競争力、クラウドとイノベーションといったように、クラウド関連のテクノロジーではなく、クラウドビジネスで経済の視点での話を求められるようになってきています。
私自身は、あまりエンジニアを経験してきていないこともあり、クラウド関連の技術に関しては、それほど詳しくないということもありますが、経営や経済の視点で見られる方が多くなってきていると言う印象をもっています。米国の記事などでも、クラウドビジネス関連の論調が多いようです。
気になるのは、クラウドビジネスの市場が成長していくことによって、企業各々の生産性向上だけでなく、日本全体の産業がプラスに作用していくかという点です。クラウド・エコノミーの視点で考えると、データの保存場所、つまり、どの程度のデータが国内にとどまっているか、また、将来的には、どの程度、海外に情報が流れていくのかといった分析も重要となるかもしれません。
また、事業者はクラウドビジネスを展開する上では、利用者は「保有」から「利用」に変わる分、事業者側がサービスを提供し、規模の経済において優位に立つためには、リスクも伴いますが、データセンターやクラウドサービスへの投資を戦略的に増やし、資産を持つ必要があると考えられます。
クラウドビジネスでの勝者になるためには、もちろんクラウド関連技術への迅速な対応が重要ですが、既におこったクラウドの未来の世界にどのような形で対応していくのか、経済環境を踏まえて判断をし、ビジネスをリードしていく時代にきているのかもしれません。