米国ガバメントクラウドで火花を散らすグーグルとマイクロソフト
米Googleは、7月26日、「Google Apps」を米連邦政府機関にも提供できる「Google Apps for Government」の提供の準備が整ったことを発表しました(関連記事)。「Google Apps for Government」は、連邦情報セキュリティマネジメント法(FISMA:Federal Information Security Management Act)の基準を満たす初のクラウドアプリケーションスイートで、Gmailと Google Caldenarのデータを米国内の政府専用システムに保存(格納)します。将来的には、Goole Docsなどのほかのアプリケーションのデータ保存も同様に実施する計画もたてています。
「Google Apps for Government」は、NIST(米標準技術局)が定義する「コミュニティクラウド(政府機関のみが共有するクラウド)」の条件を満たすため、米国の連邦政府、州政府、地域政府での利用が可能としています。
Google Appsは、既にワシントンD.C.やフロリダ州オーランド市、カリフォルニア州ロサンゼルス市、米エネルギー省ローレンス・バークレー国立研究所などで採用されており、 サービスや機能は商用版と変わらず、価格も1人当たり50ドルと同じとなり、非常に安価に利用でき、今後は連邦政府機関専用のサービスとしてさらに提案を強化してくることでしょう。
オバマ政権では、連邦政府の2009年3月にCIOに就任したVivek Kundra氏により、「Federal Cloud Computing Initiative」を立ち上げ、連邦政府のIT予算削減計画と、電子メールなどのシステムをクラウド化して外部に委託していく方針をたてています。米Googleが「Google Apps for Government」の提供をしたことにより、米国連邦政府による電子メールのクラウド化が進んでいく可能性が考えられます。
米Microsoftも「Microsoft Exchange」ベースのオンライン・アプリケーションで近く認定を受ける予定で、Wall Street Journalの記事「マイクロソフトとグーグル、政府のクラウド・メール契約獲得で火花」によると、政府機関である一般調達局(GSA)をはじめ、両社の競争が激しくなると指摘しています。米国連邦政府における電子メールのクラウド化の覇権争いの行方が注目されます。
米Googleと米Microsoftのその他のガバメントクラウドの取組みを少しご紹介したいと思います。
米連邦政府は、2009年9月15日にGSAの運用により、連邦政府のクラウド型マーケットプレイスの「Apps.gov」の提供を公表しました。「Apps.gov」では、「Business Apps」、「Productivity Apps」、「Cloud IT Service」、「Social Media Service」となっており、パブリッククラウドを想定した「Cloud IT Service」では、現時点(7月28日時点)でも、Coming Soonとなっています。「Apps.gov」が公表された時期から、米Googleは、「Google Apps」と同様のサービスの機能を提供する政府専用クラウドを2010年に運用を予定することを明らかにしており、今回の「Google Apps for Government」によって、「Apps.gov」の「Cloud IT Service」のラインナップに加えられることは十分に考えられるでしょう。
一方、米Micrsoftdでは、「Open Government Data Initiative」を発表し、クラウドを活用して、政府の統計情報などを詳細に公開。オープンスタンダードの技術も使い、二次利用も可能。政府機関のITコスト削減、民間からの政策提言を促進する環境づくりを推進しています。
今後のクラウドビジネス拡大と覇権争いの勝者になっていくためには、政府が利用するクラウドサービスの受注獲得は大きな影響を与えることになるでしょう。政府が利用するクラウドであれば、ユーザ側の安心感や信頼性は高まり、事例(実績)としては、十分なものになるでしょう。
米国連邦政府において、世界を代表するマイクロソフトとグーグルが連邦政府でのクラウド案件においての覇権争い、今後が注目されます。