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知的財産推進計画2010骨子(案)と電子書籍のプラットフォーム

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知的財産本部は、3月30日、「知的財産推進計画2010骨子」を公表しました。

重点戦略の3本柱は以下のとおりです。

  • 戦略(1)特定戦略分野における国際標準の獲得を通じた競争力強化
  • 戦略(2)コンテンツ強化を核とした成長戦略の推進
  • 戦略(3)知的財産の産業横断的な強化策

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いくつかとりあげてみたいテーマはあるのですが、今回は特に日本が苦戦を強いられているプラットフォーム分野に焦点をあててみたいと思います。
   

知的財産推進計画2010骨子(案)の中で具体的取り組みとして、プラットフォーム分野については以下の項目をあげています。

「プラットフォームの標準化(短期)」 <経済産業省/総務省>   
重要なプラットフォーム(例えば3D映像やIPTV)に関し、標準化ロードマップを含む戦略を官民一体となって策定・実行し、実証実験や国際標準化を一体的に支援する。

「プラットフォーム競争の促進(中期)<経済産業省/総務省>   
重要分野(例えば書籍)に関し、ユーザーの利便性確保の観点から、官民一体となって、排他的でないマルチプラットフォーム戦略を策定し、プラットフォーム間の競争を促す。

「プラットフォームのビジネスモデルの検討(中期)」 <経済産業省/総務省>   
プラットフォーム事業者とコンテンツ事業者によるマーケット情報の共有を始めとする双方にメリットのあるビジネスモデルの構築に向けた環境整備について検討する。

 

プラットフォーム関連で、例としてあげらえているのは、3D映像IPTV、そして書籍です。関連する取組みをとりあげてみたいと思います。

IPTV関連

「新たなメディア創出のためのインフラ整備(短期・中期)」 <総務省>   
モバイル放送、デジタルサイネージに関する実証実験や規格策定への支援、完全ブロードバンド化、ホワイトスペースの活用促進、IPTVの普及支援・クラウドコンピューティングの環境整備を通じ、新たなメディアのためのインフラを整備する。

「放送番組の電子配信の促進(短期)」 <総務省>   
放送番組の電子配信を促進するため、映像分野の権利処理の一元化、携帯機器への転送の場合のルール形成を支援する。また、IPTVの促進のため、NHK及び民間放送事業者のオンデデマンドサービスにおける先端的なサービスを促すよう、取り組む。

 

3D映像関連

「映画館のデジタル化・3D化の促進(短期)」 <経済産業省>   
映画館のデジタル化・3D化を支援する。

 

書籍関連

書籍の電子配信の促進(短期・中期)」 <総務省/文部科学省/経済産業省>   
書籍の電子配信を促進するに当たって、知の拡大再生産の確保に留意しつつ、非商業分野において国立国会図書館によるデジタル・アーカイブ化の促進や電子納本に向けた環境整備を図るとともに、商業分野において民間における標準規格の策定、権利処理ルールやビジネスモデル形成の取組を支援する。

「教育コンテンツのデジタル化(中期)」 <文部科学省/総務省>   
教育コンテンツのデジタル化(デジタル教科書及びその他教材)を進める。


これらの内容を整理すると気になるのは、電子書籍のプラットフォームです。官民一体となった、排他的でないマルチプラットフォーム戦略を策定し、プラットフォーム間の競争を促すというのが、実際にどのようなイメージとなっていくのでしょうか。

現在、政府による懇談会や出版社による協会での取り組みで業界連携を強めている一方、アマゾンの「Kindle」やアップルの「iPad」の外資系事業者など次々が電子書籍市場に参入し、電子書籍独自の事業者も立ち上がっています。 

これからの取組みの中で、特に電子書籍の場合では、プラットフォームの標準化、競争の促進、ビジネスモデルはどのように政策として展開されるのか、動向が注目されるところです。

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