教育分野で広がるクラウド
教育分野でクラウドが広がりを見せています。日経産業新聞(2010.3.15)の「クラウド 大学でも広がる」という記事の中では、各大学のクラウドへの取組みが紹介されています。いつかの大学の事例を紹介してみましょう。
静岡大学
約1万3000人が利用する情報システムをクラウド化し、3月15日に運用開始。Amazon EC2などのクラウドサービス、シンクライアントPCなどを採用することで、消費電力やIT投資のコストを大幅に削減。2013年度までにIT投資のコストを80%以上、消費電力を90%以上の削減を目標にしています(関連記事)
京都大学
iPhoneで講義内容を配信し、4月から大学院情報学研究科情報教育推進センターの19講義を対象に一部で運用を始める予定です(関連記事)
九州大学
クラウド技術の実習向けにクラウド基盤環境を活用(関連記事)
東京工科大学
クラウド技術の実習向けにクラウド基盤環境を活用(関連記事)
工学院大学
大学事務の処理量の変動に合わせ、大学の基盤業務システムをクラウド基盤環境で利用(関連記事)
その他、少し前の事例となりますが、日本大学や一橋大学などがGoogle Apps Education Editionを利用しています(事例のページ)。大学では、少子化で大学競争時代に突入しており、生き残りをかけたITコスト削減とコンピューティングリソースの利活用は、とても重要となるでしょう。
一方、初等中における教育分野でもクラウドの動きが進もうとしています。
総務省が2月10日に発表した「スマート・クラウド戦略」では、教育クラウドについても触れられています。
教育分野においては、学校や教育委員会単位で開設しているポータルサイトや個別の校務システム、学校運営の状況についての評価や情報提供のシステム等を「教育クラウド」に統合し、SaaS 等を通じて提供を行うことにより経費節減や負担軽減が可能となる。
また、教育現場で使われるデジタル教材やナレッジデータベースを「教育クラウド」を介して全国に提供することにより、ICT機器を活用して、お互いが教え合い、学び合う「協働教育」(フューチャースクール)の実現に効果が高いと期待される。さらに、遠隔教育においてクラウドサービスを活用することにより、仮想的にシステムやサービスを構築することが容易になるため、今までの座学の遠隔教育に留まらず、システム開発演習等も可能となり、教育機関間の連携に効果が高いものと期待される
以前のブログ「フューチャースクール(協働教育)実現のための教育クラウド(2010.2.11)」で紹介をさせていただきましたが、フューチャースクールの予算については、総務省が昨年12月に発表した「平成22年度 総務省所管予算(案)の概要(PDF) 」の中で、「ICTを使った「協働教育」の推進」で10億円が新規予算に盛り込まれており、以下のとおり、
ICTによる教育改革(協働教育システムの実現)を推進 するため、フューチャースクール推進事業を、文部科学省 と連携して実施
と書かれています。
大学での事例、そして、初等中における総務省の教育クラウドに関する政策をご紹介させていただきました。教育分野においては、これから本格的に普及期に入っていくことになるでしょう。学生時代にクラウド環境を当たり前のように活用してきた人材が、社会人として企業で中心的な存在として働くようになったとき、企業の情報システムとコラボレーションのあり方は大きく進化していることでしょう。