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「なんとなく」学んでいない:そんな自分を克服するための3つの力

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日本人は、学ぶ意欲があるのに何かの障害があるわけでもなく、「学ばないぞ」と主体的に選んでいるわけでもなく、「なんとなく」学んででいない。 『リスキリングは経営課題』(小林祐児著/光文社新書)にある一節です。

この指摘はに心当たりのある人は、いらっしゃるのではないでしょうか。しかし、生成AIの登場と急速な進化は、この「なんとなく」という言葉の重みを劇的に変えてしまいました。過去の常識が通用せず、キャリアの地図が日々書き換えられていく。そんな不確実性の高い時代において、「なんとなく学ばない」ことは、もはや単なる停滞ではなく、静かな後退を意味します。

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では、なぜ私たちは「なんとなく」学ばなくなってしまうのでしょうか。小林氏の分析は、今なお的確です。

実際に日本の現場で目にするのは、キャリアの主導権を会社に握られつつも、「なんだかんだ、そこそこ楽しく」働いている多くの会社員の姿です。すごく楽しんでいるわけではないけれど、とはいえ居酒屋で愚痴っていれば解消するくらいの不満しかかかえていない。...「学ばなさ」を考えるにあたって目を向けるべきは、強調されがちな「受け身な態度」ではなく、この「中途半端さ」そのものです。(同書・98ページ)

この「そこそこの楽しさ」と「中途半端な満足感」。これこそが、学びへの渇望を鈍らせる最大の要因かもしれません。しかし、AIが人間の知的労働を代替しつつあるいま、その「そこそこの場所」は、果たして安泰なのでしょうか。

変化の波に乗り、自らの価値を高め、人生の選択肢を増やし続けるために必要な力は、以下の3つの力に「AI活用」という視点を加えることが大切ではないかと考えています。

AI時代を生き抜くための3つの力

1. 独学力 × AI活用

かつて独学とは、本を読み、研修に参加し、孤独に知識を積み重ねるイメージでした。しかし現代の「独学力」は、AIを最高の学習パートナーとして使いこなす力へと進化しました。

求められる知識やスキルがめまぐるしく変わる現代、会社が学びの機会を与えてくれるのを待っていては、あっという間に時代に取り残されます。幸いにも、私たちの手元には24時間365日付き合ってくれる優秀な家庭教師(AI)がいます。

  • 壁打ち相手としてのAI: 新しい概念を学ぶとき、AIに質問を投げかけ、対話を繰り返すことで、理解を飛躍的に深めることができます。
  • 情報収集・要約ツールとしてのAI: 大量の情報から必要な知識を瞬時に抽出し、要約させることで、学習効率は劇的に向上します。
  • 思考の触媒としてのAI: アイデア出しに詰まったとき、AIにブレインストーミングの相手をさせれば、新たな視点や発想を得られます。

重要なのは、AIに依存するのではなく、主体的に使いこなすこと。自ら問いを立て、AIとの対話を通じて思考を深める。これからの独学力とは、いわばAIを駆使した知的探求能力なのです。

2. つながり力

AIがどれだけ進化しても、その価値を決めるのは人間であり、社会です。自分の価値は、他者との関わりの中で相対的に決まります。だからこそ、「つながり力」の重要性は増すばかりです。

同質性の高い社内の人間関係だけに安住していては、自分の価値を正しく測ることはできません。会社の常識が、社会の非常識であることは珍しくないからです。

意識的に社外に多くのつながりを持ち、多様な価値観に触れること。様々なコミュニティや勉強会に参加し、異なる背景を持つ人々と交流することで、自分の現在地が客観的に見えてきます。社会という広い海図における自分の座標を知れば、「そこそこの基準」に満足している場合ではないと気づかされるはずです。その健全な危機感こそが、学び続ける意欲の源泉となります。

3. アウトプット力 × AI活用

「人は教えることによって、最もよく学ぶ」

古代ローマの哲人セネカの言葉は、AI時代において一層の輝きを放ちます。アウトプットは、学びを定着させ、深化させる最強のエンジンです。

ブログを書く、勉強会で発表する、学んだことを同僚に教える。人に分かりやすく伝えようとすればするほど、自分の知識の曖昧さや体系的な理解の不足に気づかされます。

ここにAIを組み合わせることで、アウトプットの質と量を飛躍的に高めることができます。

  • 構成案の壁打ち: 伝えたいテーマについて、AIと対話しながら骨子や構成案を作成する。
  • 表現の洗練: 自分の書いた文章をAIにレビューさせ、より伝わりやすい表現のヒントを得る。
  • 視点の追加: 自分のアイデアに対して、AIに反論や別の視点を提示させ、思考の穴を埋める。

ただし、忘れてはならないのは、「伝えることで満足するな、伝わることで満足せよ」という原則です。AIが生成した文章をコピー&ペーストするだけでは、本当の力はつきません。AIはあくまで思考の補助輪。最終的に自分の言葉として磨き上げ、相手の心に届ける努力を怠ってはならないのです。自己満足の知識ではなく、社会で評価される知恵へと昇華させるプロセスにこそ、学びの本質があります。

「やる気スイッチ」の入れ方

では、これらの行動を起こすための「やる気スイッチ」は、どうすれば入るのでしょうか。答えはシンプルです。「まず、カタチから入ること」です。

何かを成し遂げるには、時間が必要です。ですから、「何を学ぶか」を延々と悩む前に、まず「自分のための時間」を確保する習慣を作りましょう。

私は、毎朝1時間、自分のために使うことを強く推奨しています。出社前にカフェで過ごす、リモートワークなら始業前に机に向かう。毎朝歯を磨くように、それを当たり前の習慣にするのです。

時間という「器」ができれば、そこに何かを入れたくなります。最初は、自分が本当に興味のあること、ワクワクすることで構いません。AIに新しい使い方を質問してみる、気になっていた技術に関する動画を見る。楽しいことは長続きし、続ければ成果が出ます。その小さな成功体験が、やがて大きな決心へと変わっていくのです。

不確実性が高いということは、裏を返せば、誰にでもチャンスがあるということです。変化の兆候にいち早く気づき、新しいツールを楽しみながら使いこなし、学び続ける人。そんな人が、これからの時代をリードしていくのでしょう。

「なんとなく学んでいない」

もちろん、これも一つの生き方です。ただ生きていくだけなら、それでもなんとかなるかもしれません。しかし、もしあなたが人生の選択肢を増やし、より豊かなキャリアを築きたいと望むのであれば、学びは不可欠です。「なんとなく学んでいない」状態であるにもかかわらず、物事がうまくいかないのを世の中や環境のせいにして嘆いてはいませんか。自らの行動を変えずに不満を言うのは、フェアではないでしょう。

もし、この言葉に少しでも心当たりがあるのなら。まずは、そんな自分を素直に認めるところから始めませんか。そして、何を学ぶかではなく、まず「時間」というカタチを作ることから始めてみませんか。AIという強力な相棒と共に始めるその一歩は、あなたの未来を拓く、最も価値ある財産になるはずです

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