[パネル討論]クラウドコンピューティングの経営情報における意義と課題@電子情報通信学会に参加して
11月27日(金)、電子情報通信学会のソフトウェアインタプライズモデリング研究会(SWIM)が主催する『[パネル討論]クラウドコンピューティングの経営情報における意義と課題 ~ どのようなクラウドコンピューティングがエンタプライズに有効か ~』にパネリストとして参加してきました。
司会は、日経BP 中田敦氏、
パネラー は以下の6名となります。
セールスフォース・ドットコム 榎隆司氏、
マイクロソフト 平野和順氏
日立製作所 香田克也氏
日本IBM 三崎文敬氏
総務省 石川家継氏
そして、私です。
まず、各社から10分程度、各社のクラウドへの取組みや戦略などについてお話をし、その後、パネルディスカッションとなりました。セールスフォースは先日開催されたDreamForceの模様やTwitterを使った新サービス等の紹介、マイクロソフトはPDC2009の模様やAzureの話、日立は Harmonious Cloudの話、IBMはプライベートクラウド等の話、そして総務省は自治体クラウドの開発実証の話などでした。
私は、事業者の視点とユーザ視点の半分でお話をさせていただきました。10分程度なので踏み込んだ話はできなかったのですが、ポイントは以下のとおりです。
(事業者の視点)
- クラウドコンピューティングの普及においては、ネットワークの品質やSLAやセキュリティ、そして、バーストネットワークといったデータセンターセントリックなネットワーク設計が重要となる
- 将来の新世代ネットワーク(NWGN)の登場等により、クラウドとネットワークの融合が進む
- クラウドはシングルクラウドからハイブリッドクラウド、そしてインタークラウドとクラウド連携へと進化していく
- グローバルプライベートクラウドといったようにグローバル全体でデータセンターの活用やネットワーク設計が重要となる
- キャリアクラウドという発想があっても良いのではないか
(ユーザ側の視点:中小企業)
- 中小企業でITが進まない理由を「戦略的要因」「人的要因」「外的要因」「コスト要因」から整理
- 中小企業は必ずしもコスト削減には結びつかない
- BPOの流れが重要となる
- クラウドによってのコアコンピタンスの集中、経営の見える化、企業価値の向上に向けた取組みが重要である
パネルディスカッション
(クラウドコンピューティング導入のメリットについて)
続いて、パネルディスカッションでは、クラウドコンピューティングのメリットについて、ディスカッションがありました。私は、たとえば、素材メーカからメーカなどが参加しバリューチェーンを支援するクラウド基盤や電子手形やIFRSへの対応など、外部との連携やお金が流通する仕組みを支援するクラウド基盤が今後重要となっていくのではないか、という意見を述べさせていただきました。
(クラウドのセキュリティやデータセンター立地などについて)
次にクラウドのセキュリティやデータセンターの立地などについて意見交換をしました。私は、今後クラウドが進めば、セキュリティや情報の保全ももちろん重要であるが、情報の空洞化が進み、日本の産業にとってマイナスに作用するのではないかという意見を述べさせていただきました。そのためには、日本にデータセンターを誘致するための技術開発や政府や自治体の優遇政策を展開していくべきではないかという話もさせていただきました。
最後に
各パネリストの方の話も大変貴重な内容が多かったのですが、自分の発言で結構精一杯だったため、残念ながらメモをとることができませんでした。今回のパネルディスカッションでは、日経BPの中田氏がモデレーターをしていただき、外資や日系企業、そして政府などが参加されたため、様々な視点でクラウドのメリットや課題などについて議論することできたのではないかと考えています。とても貴重な経験であり、また新しいクラウド人脈が構築できたということも自分にとっては大きな収穫となりました。