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日米のコンテナ型データセンター

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IIJは、11月26日、次世代のモジュール型エコ・データセンター構築に向けた実証実験を実施することを発表しました。

日本初の外気冷却コンテナユニットによる環境配慮型データセンターを構築し、実用性を検証するとのことです。ポイントになるのは、コンテナ型のデータセンターです。

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(モジュール型エコ・データセンター イメージ図 報道発表資料より

今回の実証事業には、IIJ、東芝、エヌ・エル・エム・エカル(日本軽金属グループ)、能美防災、河村電器産業が参加します。

本実証実験は、2010年2月より1年間の運用を通じて、商用化の検証を行うとのことです。


海外においては、実際マイクロソフトやグーグルなどがコンテナ型データセンターを積極的に建設しています。以下の写真はマイクロソフトのシカゴのデータセンターの中です。コンテナが並んでいます。

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(出所 DATA CENTER KNOWLDGE

ちなみに、マイクロソフトは昨年、屋根のない第4世代型のコンテナ型のデータセンターの内容も公開しています。

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(出所 Our Vision for Generation 4 Modular Data Centers

また、マイクロソフトのダブリンのデータセンターでは、冷却装置を使わず、外気でサーバーなどを冷やすコンテナ型のデータセンターを実際に運用しています。

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(出所 DATA CENTER KNOWLEDGE)

 

グーグルもコンテナ型のデータセンターについて動画を公開しています。グーグルは早くからコンテナ型データセンターに着手しています。

 

   

 

日本のケースを少し取り上げてみたいと思います。以下の図は、室蘭工業大学がイベントで展示した雪冷房を利用した省電力型データセンター「ホワイトデータセンター」の模型です。コンテナ型ではないかもしれませんが、方向性はコンテナ型に近いのではないかと考えています。

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(出所 ITPro ホワイトデータセンターとは

 

また、大成建設は、ネスト・クラウドという名前でユニット型のコンテナ型データセンターの開発を進めています。

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(出所 大成建設ホームページより

 

以上、ざっと日米のコンテナ型のデータセンターを比較しながら紹介しましたが、マイクロソフトやグーグルは実運用をしているのに対して、まだまだ日本はこれから実証実験を始めるというところです。日本では、建築基準法や消防法などの法制度も導入の障壁となっています。

さらに、物流で考えた場合、日本の港はコンテナの扱いにおいてアジアにおいて大きく水をあけられています。シンガポールが1位に対して、日本の場合は、一番取り扱い量の多い東京でさえトップ20に入っていません。国土交通省は、コンテナ取り扱いの強化と国際競争力に向けた選別投資の検討を始めています(関連記事)。

日本にコンテナ型データセンターを設置するのは、賛否両論があるのですが、今後の国際競争を考えた場合、政策も含め十分な検討をしていく必要があるのではないかと考えています。コンテナ型データセンターにより、これまでの首都圏集中型から地方設置のニーズが高まっていくのかもしれませんが、どうなるでしょうか。


最後に日経BPの中田氏の講演資料(データセンター視点で比較したクラウドの内側)を添付します。コンテナ型データセンターについても詳しく触れられています。

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