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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

日米において「国民からの声」をクラウドを使い広く募集する

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日本においても国民の声を聞くために、クラウドを採用するケースが出てきました。経済産業省は、10月9日、「電子経済産業省アイディアボックス」の開設を公表しました。

10月14日(水)から、11月14日(土)まで、電子政府の取組に関して、国民からの意見を広く募集し、参加者同士で情報交換、議論をするサイト「電子経済産業省アイディアボックス」(以下、「アイディアボックス」)(URL http://www.open-meti.go.jp)を試験的に開設するとしています。

アイデア募集のテーマは、以下の6つをあげています。

①電子手続きの満足度・利用率の向上   
②よりよいホームページのあり方   
③行政情報のオープン化   
④Web2.0の活用   
⑤電子政府構築を通じたITベンチャー企業や独創技術の育成方法   
⑥その他、ITによる新しい行政サービスについての自由アイディア


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(③行政情報のオープン化)

「電子経済産業省アイデアボックス」は、セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドサービス「セールスフォースCRMアイデアズ(Salesforce CRM Ideas)」を採用していますが、米国では、オバマ大統領の就任前に、既に活用されています。私の著書「クラウドビジネス入門」においても「はじめ」に以下の内容を記述させていただいています。

2009年1月20日、バラク・オバマ氏が、約200万人の大観衆が見守るなか宣誓を行い、米国第44代大統領に就任した。世界中は祝賀ムードに包まれ、オバマ政権の誕生に大きな期待を寄せている。オバマ大統領の新政権移行時の「Change.gov」のサイトにおいて、セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドサービス「セールスフォースCRMアイデアズ(Salesforce CRM Ideas)」を採用し、国民からの意見を広く募集した。多くの支持を得たアイデアは「The Citizen's Briefing Book」として、直接オバマ大統領と閣僚に届けられている。意見の募集は就任前の1月16日に終了したが、このように期間限定の国民からの意見の募集は、クラウドコンピューティングだからこそできたといえるだろう。

今回、政府が何故、海外のクラウドサービスを採用したのか疑問だ、という声をいくつかTwitter等で目にしました。おそらく、政府の現場にもそのような声はあったのかもしれません。しかし、目的は、国民から広くこれからの電子政府の取り組みについて試験的に募集するというためのものですので、ツールは世界の中からいいものを採用し、短期間で立ち上げ、短期間での試験的利用から始めるのであれば、クラウドを採用するというのは適切ではないかと考えています。

一方、政府ではクラウドコンピューティングと国際競争力について、様々な見地から議論をしていますので、海外(にデータが蓄積されている)のクラウドサービスを採用する際のガイドラインが明確に提示されることが期待されるところです。

米国では、オバマ大統領が積極的に採用し、国民の支持率を集めました。日本では、経済産業省の1省庁が始めたに過ぎません。開かれた政府として、国民へ推進していためには(記者会見の件もそうですが)、広く国民の意見の募集と情報交換のできる環境の提供とともに、国民自らが自分の声を反映させていくための主体的な行動ができる雰囲気をつくっていくことも重要ではないかと考えています。

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