米国における電子政府クラウドの取組みについて(1)
日本において、政府は「霞が関クラウド」や「自治体クラウド」、そしてクラウド関連の研究開発やテストベッド等に取組み、また「スマート・クラウド研究会」等、クラウド関連研究会や協議会の活動が活発化しています。米国においても政府が積極的にクラウドへの取組みも顕著ですので、簡単に取り組み概要を整理してみたいと思います。
米国では、2009年3月5日にオバマ大統領から任命されて、ヴィベック・クンドラ氏(Vivek Kundra)(34)が米連邦政府CIO 兼 行政予算管理局電子政府推進室長に就任しました。オバマ氏は、実績があり、かつ34歳という若手を起用することで、ワシントンに「Change」をもたらすことを狙ったのです。クンドラ氏は、クラウド推進論者として「Mr. Goverment2.0」として期待をされています。
クンドラ氏の経歴を簡単に紹介しましょう。クンドラ氏が米国の首都ワシントンD.C.のCTOを務めていた時に、市民に開かれた市とクラウドコンピューティングの導入を積極的に推進しました。「D.C.Data Catalog」プロジェクトや「Apps for Democracy」(民主化のためのアプリ)というコンテストによる情報公開と市民参加を促しました。そして、Google Appsの導入やオープンソースを導入する等、市の情報関連予算のコストを大幅に削減し、民間企業のコスト削減の手法を大胆に地方自治行政に持ち込んだ手腕は高く評価され注目を集めました。
オバマ大統領の就任式が、2009年1月20日に、ワシントンD.C.で行われたましたが、ワシントンD.C.のWebサイトにアクセスが集中することを想定し、就任式の前の週には同市のミラーサイトをAmazon.comのEC2で構築して備えていたのです。クンドラ氏は、2008年ITエグゼクティブイヤー、世界のベストCTO25(米InfoWorld誌)の1人に選ばれています。
クンドラ氏のイニシアティブの下、連邦政府でのクラウドの導入を積極的に進めていますが、次回以降その取り組みについて整理していきたいと考えています。