クラウド時代の次世代データセンター
7月1日に東京国際フォーラムで開催された『Next Generation Data Center 2009 / Cloud Computing Technorogy / GreenIT World』に参加してきました。展示会場はそうでもなかったのですが、カンファレンスは一部では立ち見がでる等、クラウド時代の次世代のデータセンターの関心度が非常に高いようです。
私が傍聴したのは、大成建設の「エコ&クラウド時代におけるデータセンターの建築・設備」、NTTデータの「エコ・クラウドコンピューティング時代に求められるデータセンターファシリティ」、NCAの津田氏の「仮想化と低消費電力データセンター」です。
ITのイベントにゼネコンの方が講演されるというのは少々驚いたのですが、国内においてもデータセンターの市場の拡大が予想される中、ゼネコンのデータセンターへの事業強化を図っています。大成建設はデータセンターソリューション「nest」というブランド名で、環境配慮型データセンターとネスト・クラウドを中心に説明していました。
ネスト・クラウドのイメージは下記のとおりです。
津田氏の講演では後半では北海道GEDCの取り組みや北海道石狩市のグリーンデータセンターのメリット等の説明がされていました。石狩市のホームページには『「グリーンデータセンター」の誘致について』というページがあり、石狩市のデータセンター設置の優位性として以下の8点をあげています。
1.電力供給の安定性
2.複数の電気通信事業者による通信ルートの確保
3.データセンターが立地できる広大で安価な用地
4.災害リスクの低減(自然災害は100年間以上未発生)
5.積雪寒冷地であり雪の確保が容易
6.首都圏・札幌市内からのアクセスが容易
7.札幌圏のICT関連企業の集積の活用
8.風力・太陽光発電等自然エネルギーの活用
(出所 石狩市ホームページより)
海外勢においてはさらに、データセンター建設の動きが顕著です。ここ最近の動きを見てみましょう。
ITmediaエンタープライズの「Microsoft、“メガ”データセンターを欧米2カ所で開設」の記事によると、米マイクロソフトは6月29日、アイルランドのダブリンと米イリノイ州シカゴにMicrosoft Liveやクラウドサービス向けの“メガ”データセンターを設置したと発表しています。特に、シカゴのデータセンターは広さ70万平方フィート(約6万5000平方メートル)でモジュラー式データセンター構想「Generation 4 Modular Data Center」を採用し、PUE(電力使用効率)は年平均で1.22とグリーンなデータセンターを建設しています。
(「Generation 4 Modular Data Center」イメージ画像 出所 ITmediaエンタープライズ)
また、同様にITmediaエンタープライズの「米Yahoo!、“最もグリーンな”データセンター設立へ」ではナイアガラの水力発電等グリーンデータセンターを2009年秋に着工し、2011年1月から稼働の予定となっていいます。
クラウドコンピューティングの市場は今後も成長が予想され、データセンター建設のニーズは高まってくるでしょう。国内外でデータセンターの誘致や規模の経済(スケールメリット)による国際競争や淘汰が待ち受けており、クラウド時代のデータセンターの動向は目が離せません。