クラウドビジネスを推進するための組織再設計と人材育成
クラウドビジネスはSalesforceやGoogle等、外資系企業が先行している感はありますが、日本の大手IT企業もクラウドビジネスを推進するための組織再編をしてきているケースが目につきます。
日本経済新聞(6月21日)によると、富士通は6月22日、クラウドコンピューティング関連事業のビジネスを推進していくために常務取締役以上で構成する経営会議の直轄組織となる「ソリューションビジネスモデル変革準備室」を新設しています。
40名の社員を配置し、クラウド技術や顧客開拓手法を整備し、富士通におけるクラウドビジネス拡大を急ぎ、これまでのシステム構築請負から収益の多角化を展開していくとしています。また、新規のターゲットとして農家へのクラウドビジネス展開も視野にいれているようです。Interopでも農家向けのクラウドサービスの展示がされており、政府も農林水産業のICT化を推進していることを考えると、将来的なビジネスとしては考えられそうです。
富士通はクラウド関連ビジネスで今後3年間で3000億円の売り上げを目指す方針を明らかにしており、「Trusted-Service Platform」というブランドを掲げ、組織再設計もするなど、クラウドビジネスへの会社としての本気度が伺えます。
一方、NEC においては、「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」というブランドを掲げ、クラウドサービスの提案や構築などができる人材を1万人規模にすることを目指しています。また、日本ユニシスでは、「SaaS BusinessPark」というブランドで、クラウド関連事業専門のICTサービス基盤開発部を新設し、280人体制で事業の基盤作りをしています。
NTTコミュニケーションズでは、6月19日に、法人ネットワークサービスの組織見直しのニュースリリースの中で、SaaS、クラウドコンピューティングなどのニーズに対応していくため、法人向けネットワークサービスを一元的に提供する「ビジネスネットワークサービス事業部」を新たに設置することを公表しています。NTTコミュニケーションズでは「BizCity」というブランドを掲げネットワークを中心にSaaS/クラウドビジネスの展開を強化しています。
システム構築請負中心の提案活動であれば、これまで情報通信システム部門への提案が中心となっていましたが、クラウドサービスを採用するのは必ずしも情報システム部門ではなく、様々な部門が主体となって採用するケースも増えてくるでしょう。そのため、提案者側も様々なスキルが要求されるようになり、人材育成も急務となってくるでしょう。
クラウドコンピューティングが契機となってこの先、大手IT企業の本格的な組織再編やパートナー連携もさらに進んでいくことになるのではないかと考えています。