クラウド時代の日本のデータセンター普及促進のシナリオ
クラウドコンピューティングの普及に伴い、グーグルやマイクロソフト等は人件費や電力費の安い地域へのデータセンターを建設しています。またアイルランドなど消費電力を抑える寒冷地等も人気が高いようです。
日本においては、これまで首都圏のデータセンターの利用がこれまで多かったのですが、懸念されるのは、日本の企業のデータが海外のクラウドに流れてしまうといった「企業情報の空洞化」です。
政府も外資系企業の巨大なデータセンター建設によるスケールメリット(規模の経済)を働かせる動きは、非常に脅威に映っているのではないでしょうか。
日本政府の動きをここでご紹介したいと思います。
総務省とASPICは、2月26日、「ASP・SaaS データセンター促進協議会 」の設立を公表しました。クラウドコンピューティングの出現等ネットワーク環境の変化を踏まえた新たな国際戦略等について、検討を行う予定となっています。
具体的な活動テーマとして、
クラウドコンピューティングにおいては、
①ネットワーク対応(IX、NGN、IPv6対応)
②プラットフォーム対応
③ASP・SaaS対応
④技術連携、導入推進
⑤クラウドコンピューティング利用ガイドの検討
等を検討していいくようです。
成果物として、「クラウドコンピューティング利用ガイド」を出すということですので、国内にあるデータセンターを活用したクラウドコンピューティングの利用について方向性を示していくると思われます。
また、経済産業省では、2008年12月4日、日本のデータセンター事業の国際競争力を向上することを目的として、産学官の関係者が協力する「日本データセンター協会 」の設立総会を開催したことを発表しています。 この協会のページを読むと、「グリーン・クラウドコンピューティング」というキーワードが頻繁に出てきています。 東京都環境保護条例対応WGなど、環境を意識したデータセンターのあり方についても議論が始まっています。
また、2月4日には、産学官研究組織「クリーンエネルギーデータセンター(CEDC)研究会」が立ち上がっています(関連記事 )。北海道の寒冷地特性に省電力のデータセンターのあり方を研究する「北海道グリーンエナジーデータセンター(GEDC)研究会」もメンバーに含まれており、北海道を中心とした、環境に優しいデータセンターのあり方について議論が本格化していくものと思われます。
同様に日本の企業も日立や富士通などデータセンターの建設に力をいれています。
この先、日本国内にあるデータセンターがどのように展開し、海外の規模の経済を生かした巨大なデータセンターとどのように対抗をしていくためにどのようなシナリオを描き、対応をしていくのか、その動向は要注目です。