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人間が中心の国家IT 戦略 -Human-Centric Japan

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2010年までの「u-Japan政策」の次の国家のIT戦略が議論されています。2月6日に、「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会(第1回)」が開催されました。「デジタル新時代に向けた新戦略の策定について」の中では、直面する経済危機を乗り越えるとともに、我が国経済の底力を発揮するための、デジタル新時代を見据えた中長期的な新戦略(09年~15年)が必要であるとしています。

次の国家IT戦略を考えていく上で、調査委員会の委員からも意見が出されています。私が興味深いと思った内容の2点を紹介したいと思います。 

株式会社ローソンの代表取締役社長の新浪 剛史氏は、方策案の一つとして、

情報産業の工業化を図るために、諸外国と連携し、工業製品としてのメーカー責任を問うとともに、既存のブロードバンドとデータ・センターを活用し、クラウド・コンピューティングの仕組みを用いて、ユーザーが安心して利用できる情報社会基盤を整備する。

という点をあげています。今回の第一回目では、7人の委員の方が意見を出していますが、「クラウドコンピューティング」を使っているのは、新浪氏だけです。 

これまでの日本のIT国家戦略の中においては、「e-Japan」、「u-Japan」と続いてきましたので、このままでいけば、冒頭のアルファベットが変わるのではないかと思っています。候補の一つとしてもしかしたら、「c-Japan(Cloud Japan)」という考え方も出てくるかもしれません。

大変興味深かったのは、野村総合研究所 シニア・フェロー 村上輝康氏が使われている「H-Japan 戦略」です。この「H-Japan 戦略」とは、人間が中心の国家IT 戦略Human-Centric Japanを意味し、日本の高度情報化が、真に最終利用者である人間に幸福をもたらすものになりうるかという課題に真正面から向き合うことが必要ではないかとしています。 

具体的なイメージとしては、以下のように記述されています。

人間を幸福で元気にする医療・介護・子育て・教育・雇用・地域開発・エンターテイメント等の分野でのIT 利活用を実現する方策とは何か、を模索していくのが中期の次期国家IT 戦略の基本方向であるべきではないか。

これまでの施策をHuman-Centric という視点で洗い直し、たとえば社会保障カード、年金手帳、健康保険証、介護保険証、母子手帳、雇用保険証、運転免許証、パスポート等を一枚に収め利用者が開示ポリシーを管理できる「国民安全・安心カード」の開発普及、地域遠隔医療・救急システムの早期全国導入、輸入食品の安全確保に資する電子タグを活用したアジア食品コンテナ物流ネットワーク開発等の新たな骨太の施策体系を構築。

確かに、ITはユーザ側の視点で議論されることが多くなってきました。「H-Japan」という言葉は慣れるのに少しは時間がかかるかもしれませんが、人間中心の情報化社会と考えたときに、かなりフィットするキーワードではないかと感じています。

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