NGNとユーザ視点(2) 中小企業と行政
2-1. 【テーマ1】NGNを使った行政サービスが中小企業の業務を効率化
景気低迷などの影響を受けて、特に中小企業の多くは、非常に厳しい経営を強いられています。また、日本は世界有数のブロードバンド環境がありながら、IT活用による生産性が先進国の中でも低い状況です。また、地方公共団体においては、電子化がうまく進まず、ITに投資する予算も財政的に厳しい状況となっています。
地方公共団体においては、システムの共通化による効率性を高めるためLGWAN(総合行政ネットワーク)を利用したASP、共同アウトソーシングによるASP・SaaS普及の取り組みを始めており、総務省はASP・SaaSの普及促進に向けて地方公共団体向けの「ASP・SaaS活用ガイドライン」を公表する予定です。経産省においても、財務会計や電子納税申請など、中小企業向けの「SaaS活用基盤整備事業」の取り組みを行っており、来年度中には中小企業50万社へのASP・SaaSの導入を目指しています。
NGNの特徴の一つに、他事業者のプラットフォームとオープンに接続できるSNI(application server-network interface)があげられます。SNIを接続点として、SDP(Service Delivery Platform)と呼ばれるサービス提供基盤が用意されることになります。このSDPが提供するAPI(application programming interface)と連携し、NGNのネットワークを利用したセキュアかつ高品質なアプリケーションサービスを提供できるようになります。
SDP上に、例えば、電子申請等を共通プラットフォーム上のアプリケーションサービスとして提供することできれば、ユーザはよりセキュアかつ安定した形でアクセスが行うことができるようになります。また、自治体にとっても各自治体とのシステムの共通化が可能になり、コスト削減に結びつくことが期待されます。実現するかは定かではありませんが、NGNは中小企業と行政機関を結ぶ重要なインフラとして期待されます。