経済不透明の時期にはIT業界に目を向けてほしい
景気後退期に入り、企業の倒産や派遣社員の解雇などがニュースをにぎわせています。私たちが担当しているお客様の中においても、ITシステムコストの低減に向けた提案をしてほしいという依頼を受けるようになってきています。
景気が不透明になる中において、企業は生産性を高めていくことが求められるようになります。あるIT企業の社長の言葉に「出張は少なくして、お客様とのミーティングを増やす」といったように出張ではなくてテレビ会議を活用して、出張コストを削減し、お客様との会話を多くするという改革はあるかと思います。
あるIT系のイベントの中でもあるIT企業の幹部の方が「経済不透明の時期だからこそ、ビジネスを変革していくチャンスである」と述べられています。その企業はクラウドコンピューティングの展開に力をいれている企業です。ITに投資をするのではなく、ITを活用することによって、不景気をのりきり、ビジネスの生産性を高めていこうという趣旨がこめられているのではないでしょうか。
総務省が12月12日に発表した「情報通信産業の経済動向報告(2008年第3四半期) 」によると、情報通信産業の雇用状況は上向きの傾向を示しています。実際に外資系のIT企業において一部人員削減の発表がされているものの、日系のIT企業からは人員削減に関する大きなニュースは出てきていないのではないかと思います。
調査会社IDCが12月4日に発表した2009年におけるIT市場予測予測の資料を見ても、企業のIT支出を削減する傾向はあるものの、クラウド・コンピューティングやグリーンITといった、新技術や新しいビジネス・モデルの発展/導入に拍車をかける」と予測し、、「産業全体を変革するような“破壊的”技術」には積極的に採用する傾向があるようです。
ガートナーが12月11日に発表した「経済低迷期におけるITサービス・プロバイダーのサバイバル術 」もなかなかおもしろい記事です。一定の需要が見込める機会を逃さず受注に結び付ける迅速な対応力が必要としています。不景気の中においてIT業界の対応力の差が大きく出てくるのではないかと考えています。
少し前までのIT業界の就職人気ランキングは、やや低迷していました。理由は、3Kと呼ばれるように「きつい」「帰れない」「給料が安い」というイメージがあり、学生が敬遠する傾向が最近見られるようになりました。しかしながら、転職ランキング を見ると、グーグル(2位)とマイクロソフト(6位)等、IT業界が健闘を見せています。一度、社会に入り、ビジネスを経験してきたビジネスパーソンにとってはIT業界が魅力に写っているようです。
学生の皆さんにとっては、これまで人気のあった職種において倒産や社員の解雇などのニュースが賑わしており、どの業界が自分に適しているか、迷ってしまうことでしょう。できれば、この時期にIT業界に関心のなかった人もIT業界に目を向けて、自分に適しているか、考えてみてほしいと思います。もともと私も学生時代、ITを活用していたわけではなく、どちらかと英語やゼミでは経済思想史などを勉強していました。ITとは全く無縁でした。そんな人間でも業界で何とか楽しくやっていけるのですから・・。