クラウドコンピューティングが進む背景(2)
クラウドコンピューティングが進む背景(1)の中では、ブロードバンド環境が整備され、仮想化技術、ハードウエアの省電力化や低価格化、そしてiPhoneやEeePCに代表されるように端末が充実してきている点を整理させていただきました。今回は時代のトレンドなどを絡めながら整理していきたいと思います。
トレンドを網羅するキーワード
数年前にWeb2.0というキーワードが注目を浴びました。Web2.0とは何なのか、多くの議論を呼びました。そして、SOA、SaaS、グリッドコンピューティング、ユーティリティコンピューティング、そして、仮想化等、いくつかキーワードもあがってきていますが、Web2.0のような広義のコンセプトを持っているかというとやや疑問符がつくところがあります。そこで、これらのコンセプトを網羅するという意味でクラウドコンピューティングというキーワードが広がってきていると考えることもできます。
ITリソースの所有から保有へ
目まぐるしく変化する市場の中において、そして、原油価格高騰など、景気が停滞する昨今において、IT投資し、何年かをかけて投資分を回収することは、大きなリスクと考えるケースが増えてきました。そのため、ITリソースは、所有することから保有、つまり、使いたいときに、使いたい分だけITリソースを利用する考え方が広まりつつあります。それが、SaaSやPaaS、そしてIasS等の考え方を生み出してきました。
ITエンジニアの不足
IT業界、特にエンジニアの不足が顕著になっています。エンジニアの仕事は時には、3Kと呼ばれることもあり、特に就職活動をしている学生にとっては、あまり人気のない職種になっています。私たちが就職活動をしている頃は花形職種の一つだったと記憶していますが、今は、そのようなイメージも薄れてきているように感じています。このエンジニアの人材難の状況を考えると、ITシステムを構築するよりも少ない稼動で住むITリソースの保有するという流れが進むのではないかと予想されます。
中堅・中小企業の競争力強化
原油価格の高騰に伴い、中堅・中小企業の経営への打撃は相当大きいものと予想されます。中堅・中小企業は生産性を高め、競争力をあげていかなければ、競争に勝ち残ることが難しい状況になりつつあります。経済産業省や総務省が政策として推進するように、中堅・中小企業のSaaS導入によって、投資を最小化し、少ない投資で、ITにより効率化を高めるという動きが出てきています。
そして世界の市場
クラウドコンピューティングの進展は、日本国内に限った話ではなく、むしろ北米を中心として世界規模で動きが出ています。IBMは発展途上国も含めクラウドコンピューティングセンターの設置を積極的に推進しています。特に中国市場は、中堅・中小企業は世界一を誇り、個別にシステムを組むというよりもITリソースを使うという流れになっていくことが予想されます。
クラウドコンピューティングが進む背景は、トレンドの変化や、企業を取り巻く環境、そしてグローバル化の流れが大きく変化してきているからと言えるのではないでしょうか?