日本のICT国際競争力指標 市場シェア
各省庁から平成21年度の重点施策が公開されてきています。総務省は、8月28日、「平成21年度総務省重点施策」を公表しました。
1)地方の再生、2)成長力の強化、3)安心・安全な国民生活の確保等を柱としています。
そして、ICT成長力強化にも重点を置いています。重点施策(概要)からICT政策の部分を抜粋すると以下のとおりです。
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1.誰もがICTを利用できるための基盤整備
- 地上デジタル放送への完全移行に向け、説明・相談体制等の抜本的強化等の総合対策を実施
- デジタル・ディバイド解消に向けたブロードバンド網整備や携帯電話等エリア整備への支援
- 通信・放送の総合的な法体系の在り方について、具体的な制度設計に向けた検討
2.ICT産業の国際競争力強化
- 新規性の高い事業の創出・国際展開を支援するICT先進事業国際展開プロジェクトの推進
- 3次元映像技術、ネットワークロボット技術、環境関連技術等の重点研究強化の推進
- 高度ICT人材育成、IPv6技術の習得に向けた環境整備、ソフトパワーの強化等の推進
3.ICTのつながり力による産業・社会の変革
- ICT利活用によるCO2削減効果の検証・評価手法の確立、テレワークの普及・促進及び「ユビキタス環境立国」モデルの開発・実証等「ユビキタス特区」事業の推進
- 携帯電話の利活用により地域課題の解決を図る「ふるさとケータイ事業」の推進
4.地域におけるICTの徹底活用
- 遠隔医療等に活用可能なブロードバンド網整備、ICT利活用モデルの構築等の推進
- 中小企業の生産性向上に資する総合的なコードの整備、ASP・SaaSの普及促進
5.ICT安心・安全対策の推進
- 違法・有害情報対策に関する「安心ネットづくり」の促進
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ICTの基盤を構築し、国際競争力を高め、産業育成や地域活性化などの内容が盛り込まれています。
中でも日本のICT国際競争力の低迷が気になります。実際に日本はどの分野が強くてそして、どの分野が弱いのでしょうか?
総務省は、8月28日、7月29日に開催された「ICT国際競争力会議(第3回)」の資料を公開しました。この中では、「ICT国際競争力強化プログラムver.2.0」(案)等も掲載されています。
興味深い内容は、参考資料となっていますが、「ICT国際競争力指標の策定について」です。
日本企業の市場シェアは、ソフトウェア、通信及び情報関連の端末・機器(コピー機、プリンタを除く。)で低くなっている点が指摘されています。
携帯電話機が14.9%と予想以上に高いシェアに見えますが、ソニー・エリクソンのシェアも日本のシェアに入れ込んでいるからです。ソニー・エリクソンを除いた場合は、10%を切るでしょう。さらにiPhoneの販売がこれからも増え、やタッチパネル携帯で注目されているサムスンの携帯電話等が日本の市場に参入してくることを想定すると、日本の携帯事業者はしばらくの間苦戦することが予想されます。
さらに苦戦が強いられているのは、ソフトウエアの部分です。
- アプリケーション・ソフトウェア 0.4%
- インフラ・ソフトウェア 2.5%
とかなり壊滅的な状況です。今後、クラウドコンピューティングに代表されるようにウェブベースのビジネスが広がっていくことを想定すると、情報のデータが北米などに蓄積されてしまうと、益々厳しい状況になっていくでしょう。グローバル化が進むほど、日本語というハンデは大きくなっていくのかもしれません。
先ほどの、総務省の重点施策の中で、ICT産業の国際競争力強化も施策の一つに入っており、「国際展開プロジェクト」や「3次元映像技術」、「ネットワークロボット技術」、「環境関連技術」などが上げられています。
ICT産業において世界における日本の市場シェアを高めていることができるか、世界でのプレゼンスを高めていくためには、シェアを高めていくことが指標の一つになるのではないかと考えています。