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仮想世界に実名社会は実現するだろうか?

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セカンドライフに代表される仮想社会ですが、先日、「VirtualWorld Conference&Expo」にて、リンデンラボのフィリップ・ローズデール会長が講演されたこともあり、若干話題にはなりましたが、ユーザの利用率は鈍化傾向です。

セカンドライフでは、他の仮想空間との連携やソフトウエアインストールなしでの利用、そして3Dカメラでパソコンの前にいるユーザの動きをセカンドライフ内のアバターに反映される仕組みなど、ユーザにとって使いやすい技術開発を行っています。

先日、「サイバー特区(仮称)で試される仮想社会」でご紹介させていただきましたが、総務省がサイバー特区(仮称)で実名による仮想社会の検証を行うことを「ICT成長力強化プラン」(5月23日)の中で発表しました。

そして、5月29日に開催された「ICT成長力懇談会(第7回)」の中で「デジタル文明開化プロジェクト(仮称)」及び「サイバー特区(仮称)」の概要(PDF)を発表しました。


cibertokkku 

 

サイバー特区(仮称)のイメージは、

  • サイバー空間上に、予め一定の要件に同意した実名ユーザによるクローズドの安全なコミュニティを構築。
  • その空間内に限定して実証実験を行うことで、コンテンツ流通等のサービス提供における制度・慣習等の課題解決を大幅に加速化することが可能なテーマを公募。
  • 採択したテーマについて、ユーザへのインセンティブ付与やサービス試験等の実験を行い、革新的な新規事業創出を促進。

としています。

 

活用イメージは、

(先進サービスの試験)

特区内で先進サービス(例えば電子申請の添付資料廃止等)を試験することで、制度上の課題等を点検する。

(著作物利用の簡便化)

著作権使用の許諾及び報酬権を留保するユーザにより、コモンズとして知的創造物を蓄積し、ユーザが無料で自由にその利用や改編を行える環境を特区内に整備し実証実験を行う

(個人情報利用の柔軟化)

特区内での個人情報の柔軟な利用を容認し、異業種連携によるワンストップサービス等の実証実験を行う。

(各種変更による影響の検証)

定額料金から従量料金への変更ネット上の有害情報対策導入による利用形態変化等、各種変更による影響の検証を行う。

 

本概要の資料の中なのであくまでも推測のレベルですが、実名のクローズドな仮想社会の中でたとえば、クリエイティブ・コモンズの柔軟な著作権を利用しながら、コンテンツの二次利用や再利用の促進し、クリエータの育成や新たなコンテンツ産業の育成を検証していこうという試みに見受けられます。仮想社会でクリエータやプロシューマーと呼ばれる人々が、自分たちの名前をPRしながら、コンテンツのマッシュアップを実現するという考え方はありかもしれません。

これまでの仮想社会は多くは匿名の社会でした。ITmediaオルタナティブ・ブログなど、ブログの世界では、一部で実名ブロガーが存在します。果たして、仮想社会において一般の消費者が実名アバターとして存在し、アルファーブロガーと呼ばれるような実名のアルファーアバター(?)というような影響力のあるアバターが生まれてくるのでしょうか?

仮想社会に、新たなコンテンツ創造され、新たなビジネスが生まれる可能性があるのか、注目してみる価値はありそうです。

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